過敏性腸症候群の鍼灸治療

2016年6月3日

症例

30代 男性

 

数か月前に前職をやめて営業職に転職した。転職した先は売り上げのノルマが厳しく、朝は始発から出勤して夜は終電近くまで仕事をするという日が続いていた。ある日、営業先に向かう電車の中でお腹の痛みが出て目的地の手前で電車を降りてトイレに駆け込んだ。その日は、それで済んで約束の時間に間に合ったが、その日をさかえに通勤時や営業先への移動時などの電車内で腹痛を感じるようになってしまった。

それでもなんとか仕事をこなしていたが、ますます仕事が忙しくなった時に腹痛が耐えきれなくなり、何か悪い病気にかかっているかもしれないと思い、病院で診察を受けた。血液検査や内視鏡検査などを受けたが、特に腸には異常が見られなくそこで過敏性腸症候群と診断された。病院では下痢止めや痛み止め薬を処方されたが、あまりよくならないため当院を受診された。

 

当院の治療

まず、生活習慣特に食事習慣に乱れがないか詳しく問診をしていきました。ストレスから毎晩お酒を飲んだり、辛いものが好きということで3日に1回は辛い食事を摂っていたとのことで、その点の改善や運動習慣をつけていただくようにアドバイスしました。

次に自律神経測定器で自律神経の状態を測定をして、施術に入りました。自律神経の状態としては、交感神経の活動が高く、自律神経の状態は乱れていることがわかりました。

治療後、腹痛になったときに押すと軽減されるツボをアドバイスして、腹痛が起こった時に押してもらいました。

一回目の治療後、腹痛が起きるがいくらか痛みの程度が和らいだと感じたとのこと。治療を続けていくと仕事の忙しさに比例して少しおなかの状態も波があるが全体的に痛みが軽減して、電車も目的の手前で降りることが少なくなってきた。

5回目の治療後、西洋薬を飲む必要がなくなってきたとのこと。しかし、依然として腹部の違和感や時に痛みを感じる。

10回目の治療後、ほぼ痛みを感じることがなくなった。自律神経の状態を測定したところ自律神経の状態も良好。

 

 

過敏性腸症候群とは

病院で血液検査や内視鏡検査などを受けても特に原因が特定されずに下痢と便秘を繰り返す状態です。日本人では約7人に1人の割合で過敏性腸症候群に悩まされているとも言われており、意外に多い病気です。特に20代30代などの若い年代に多い病気ということが知られています。

症状が重症化してしまうと、常にトイレを気にするようになって仕事や学校に支障が出て仕事や学校に行けなくなったり、それが引き金となりうつ病や不安症などの病気を併発しかねないとても怖い疾患です。

 

下記ような方は過敏性腸症候群にかかっているかもしれません。

・お腹の痛みや違和感をよく感じる

・慢性的な下痢症状がある

・お腹が常に張った感じがある。

・腹痛を起こしたときの便の形状がかわる

・通常より排便の回数が増えている。

過敏性腸症候群

 

過敏性腸症候群は大きく分けて3つの型があります。

・下痢型

男性に多いのが下痢型過敏性腸症候群です。通勤通学の電車の中や大事なプレゼンの前など精神的緊張や精神的なストレスが加わると腹痛を訴えてトイレに駆け込むことが多くなります。重症化すると仕事を退職せざるおえなかったり、学校も休みがちとなってしまいます。

 

・便秘型

便秘型過敏性腸症候群は特に女性に多いです。女性は蠕動運動が弱かったりと便秘を引き起こしやすいですが、便秘で悩まれている方は過敏性腸症候群かもしれません。

 

・混合型

下痢と便秘を繰り返す混合型過敏性腸症候群はあまり多くない疾患と言われていますが、この状態で病院にかかることが少ないので実際は日常生活に支障がきたさないまでも患っている方は多いと推察されます。

 

腹痛を引き起こすその他の病気

腹痛を引き起こす病気は過敏性腸症候群だけではありません。その他にも怖い病気が隠れている場合もあるので注意が必要です。

・大腸がん

・クローン病

・感染性腸炎

・大腸憩室

 

などの怖い病気が隠れている場合もあります。便に血が混ざっている血便や夜中に便意で起きてしまう・発熱や急な体重減少があった場合はすぐに一度病院を受診して診断を受ける必要があります。

 

 

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の原因はいまだに詳しく解明されていません。しかし、腸は『第二の脳』と言われるぐらい脳との関係が知られているため、ストレスによって過敏性腸症候群が引き起こされているのではないかともいわれています。

現に過敏性腸症候群を患っている方の多くは、不眠症抑うつ感頭痛めまい症状を患っており、脳の状態と深いかかわりがあると推察されます。

脳と消化管は相互に情報が行き来しています。脳は、消化管の運動やホルモンの分泌を調整していますし、消化管からの情報は脳に送られて脳の調整機能にも影響を与えるのです。

また、脳内物質で広く知られているセロトニンは実は身体の約90%が腸内に存在しています。セロトニンといいましてもそれぞれ役割が違ってきます。

脳内のセロトニンの場合、うつ病患者で脳内セロトニンが少なくなっていると言われておりますが、興奮や不安から落ち着かせてくれる作用があります。

逆に腸内のセロトニンはストレスを受けると分泌を増やしてセロトニン受容体と結合することで蠕動運動に異常を起こしたり、腸内の食べ物を体外に出そうとする働きが活発になるのです。

 

また、過敏性腸症候群の方は、脳内のストレスが信号として消化管に伝わりやすくなっているとも言われています。

 

 

過敏性症症候群の東洋医学的考え

過敏性腸症候群は、東洋医学では消化に大きく影響を与える『脾』『胃』『大腸』の異常で起きると考えられています。

東洋医学では脾は消化機能や栄養の代謝、免疫機能などを主っています。胃は、胃・十二指腸などの消化機能全てを含めた役割を担っています。大腸は、胃・小腸で消化吸収されて残った飲食物を体外に出す役割があります。それらの機能のどれかに異常が見られると下痢や便秘を引き起こしやすくなるのです。

それに加えて『肝』の状態も重要です。肝の情緒を安定させる機能や自律神経系の機能を調整する機能が低下してしまうと『脾』『胃』『大腸』の異常を引き起こしやすくなるのです。

 

 

過敏性腸症候群の治療 当院の過敏性腸症候群に対する施術は、

・自律神経のバランスを整えること

・東洋医学的観点より『脾』『胃』『大腸』の状態を整えること

 

この2点を重点的に行っていきます。

自律神経のバランスでは、初めの施術に入る前に自律神経測定器で測定してその方にあった施術法・治療経穴を選んで治療していきます。

東洋医学的観点では、腹診・脈診・舌診などを用いてどこが弱っているかまたは逆に亢進しているかを判断して施術していきます。

 

過敏性腸症候群の方の場合は、手足や腹部に冷えが見られる方が多いのでお灸療法も積極的に行っていきます。当院で行われるお灸療法は、熱すぎず決して痕が残ることはございませんので安心してください。心地よく全体的に体の内側から温めることで血流改善や体の冷え改善をはかります。

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生活上の注意点

・アルコールの飲みすぎには注意する。

・辛い食べ物を食べすぎない

・カフェインを過剰に摂取しない

・チーズや牛乳といった乳製品は控える

・ウォーキングなどの適度な運動をする

・睡眠しっかりとる

・夜間の食事や間食を控える

・喫煙を控える

・ストレスを溜め込まない

 

症例

十代 男性

小学生で、ここ一年間便の回数が増えて学業もままならない状況で困っているとのことでした。

病院で自律神経の乱れや腸の過活動が原因として治療を続けていたが効果がなく、未だ学校には行けてない。

学校もこれ以上休みたくないが、授業も部活もトイレから出られないためどうしようもなく他の治療法を探しているところ当院に来院されました。

 

自律神経測定器では、バランスが取れた結果がでました。自律神経が原因ではないと判断しました。

触診で腹部と背部に強い硬結がみつかりました。本人に確認したところ圧痛もありました。

自律神経を整える治療を行ない腹部と背部の硬結を緩めるよう治療したところ、一回の治療で逆転しました。今度は便が出なく辛いと二回目に報告されました。

腹部とのバランスを考えてお灸を中心に整えたところ、便はでてきたが回数が増えた。当初の三分の一ぐらいに減ったらしく日常でもトイレにこもる事が減ってきたと喜ばれました。

子供の鍼灸治療の反応は相当早く、大人よりも治療成績が良い事が多いです。

一回一回の治療でバランスを整えたところ十回ぐらいで便で困ることがなくなって学校にも行けるようになりました

 

過敏性腸症候群であっても背部と腹部の異常を整えるだけで治ったケースです。

意外にも筋緊張だけでも改善する事が分かります。


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸整骨院 東京都 渋谷区 at 20:49 / 院長コラム

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