自律神経失調症の鍼灸治療

2016年5月17日

自律神経失調症

自律神経とは

内臓や血管など自分の意識とは無関係に働いている神経で人間の生命活動の中でとても重要な役割のある神経です。自律神経が乱れるとうつ病やパニック障害などの精神疾患ばかりではなく、首肩の痛みや腰痛の原因となる場合があります。腰痛のほとんどがストレスが原因とも言われる所以はこの自律神経が関係している可能性が大きいです。
交感神経と副交感神経
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。自律神経のバランスが崩れているということはこの交感神経と副交感神経のバランスが悪くなっているということです。
基本的に交感神経は体が活動的になるときに働く神経です。この神経は仕事やスポーツをしている最中に働いているととても有効な神経です。交感神経は、血圧や心臓の活動を高めることで筋肉や脳に必要な栄養素を運び体を円滑に活動しやすくなります。人間の恒常性機能により朝や日中の活動的な時間帯に交感神経の活動は高まりやすく、夜になるとだんだんと静まってきます。
逆に副交感神経は基本的に体が休まるときに働く神経です。体がリラックスしているときや眠っているときに活動が高まります。また、胃腸などの内臓働きを主っており、体が休息している間に飲食物などを栄養素に変えて体の細部に送り届けていることで体を修復してくれる大事な神経です。人間の恒常性機能により副交感神経は、夕方から夜にかけて高まりやすくなり、朝は日中の時間帯は活動が抑制されています。

自律神経の乱れ

上記のような人間に恒常性機能に反して夜遅くまで仕事をしていて夜まで交感神経の活動が高まっていて副交感神経の活動が低下して体を修復する機能がうまく働かず、疲れが取れない・よく眠れないなどの状態となってしまいます。
また、休日にお昼過ぎまで寝ていて日中になっても交感神経の活動が高まらずに副交感神経の活動が高い状態となっても自律神経の乱れが生じて気怠い・何となくやる気が出ないなどの状態となってしまいます。
自律神経の乱れは、現代の日本で働いて生活していく上ではある程度は仕方のない部分もあるかもしれません。しかし、この状態が長期間続いてしまうといずれ自律神経失調症やうつ病・睡眠障害などの疾患につながる可能性があるので注意が必要です。
自律神経失調症
自律神経失調症は、近年広く認知されてきており、軽度なものから重度のものまで人によって病態が幅広いことが特徴です。現れる症状も人によって様々です。代表的にものとして
・倦怠感
・易疲労感
・動悸や息切れ
・感情のコントロールができない
・息苦しい
・食欲不振
・吐き気やめまい
・耳鳴りや難聴
・首肩こりや頭痛症状
・寝つきが悪い
・早朝覚醒
・睡眠が浅い
・集中力の低下
・不安感や抑うつ気分

などがあります。
上記のような症状を呈して病院で検査をしても特に異常が見られないのが自律神経失調症の特徴です。

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日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義されています。

このように医学界でも自律神経失調症の定義は確立されておらず、検査しても何も異常が見られない場合に比較的簡単に自律神経の乱れや自律神経失調症と診断されることがあります。

このことから自律神経失調症といっても軽度のものから重度の病態があり、自律神経失調症と診断されたからといってそこまで気落ちせずにしっかり治療や規則正しい生活を送ることで改善していきましょう。

自律神経失調症にかかるメカニズム

自律神経失調の一番の原因は、ストレスです。仕事や人間関係、家庭環境など人によって受けるストレスは様々です。また受けられるストレスの許容量も人それぞれです。ある出来事がある人にはストレスと感じていてもある人にとっては全くストレスになっていないということもありますし、ある人はこれだけのストレスで自律神経のバランスが崩れてしまうのにある人にとっては耐えることのできないストレスであったりします。それが、自律神経失調症を考える上で一番難しい点です。

自律神経失調症を防ぐには自分を客観的に見てストレスに対する感受性や許容量をしっかり見極める必要があるのです。また、交感神経の活動が過亢進となり、自律神経失調となってしまう方の多くは、頑張りすぎてしまう方が多いので、周りの人がしっかりと見極める必要もあるのです。
自律神経失調にかかってしまう多くの方は、夜など休息するべき時間帯に仕事などで交感神経の活動が亢進した状態でなかなか体を休息する方向に向かわせる副交感神経の活動が高まらないことが原因です。交感神経の活動が高まる状態が続くことで、血圧は高い状態が続き、心臓の拍動も高まります。すると動悸の原因となったり、乳酸などの疲労物質が筋肉にとどまりやすくなり、首肩こりや頭痛症状とつながります。
交感神経の活動が高まっていることで副交感神経の活動が抑制されて、睡眠に影響を及ばして眠りが浅く、寝つきが悪くなったり、胃腸などの働きを弱めることで食欲不振や吐き気などにもつながります。
その他、少ないですが副交感神経の活動が高まっている状態が長く続いて自律神経失調にかかるケースも見られます。
ストレス学者のハンス・セリエの有名な言葉で「ストレスというものが存在しなければ、人間は滅んでいただろう」というものがあります。ストレスは時に体に甚大な被害をもたらしますが、必要のないものということではないとハンス・セリエはいっています。程よいストレスは人の体を強くして体外からの様々なストレスから身を守る免疫をつけてくれるのです。逆にストレスのない生活が長く続くと副交感神経の活動が高まる状態が長く続いて倦怠感ややる気の起こらない状態が続いてしまう可能性があるのです。
ている方も少なくありません。
また自律神経失調症は女性に非常に多く発症しやすい病気で女性ホルモンのバランスの変化が大きく関係していると考えられています。

自律神経失調症の東洋医学

自律神経失調症は、東洋医学では「気の流れ」が大きく関係していると考えられます。東洋医学で「気」の役割は、生長・発育・代謝の促進・体温の維持や調節・体外からの邪気を防御する機能など多岐にわたります。
気は五臓六腑のによって作られて心と肝によって全身に運ばれます。その過程で気がうまく生成なれなかったり、全身に運ぶ機能が弱まるまたはどこかで流れがとどこおっていたりすると自律神経失調症にかかってしまう恐れがあります。
自律神経失調症の病院での治療
病院では主に薬が処方されます。精神安定剤やビタミン剤、睡眠薬などで自律神経の働きを整えることをはかったり、女性の場合はホルモンバランスが自律神経に影響を与えている場合もあるのでホルモン剤でホルモンバランスを整えることもあります。
また、今では漢方を扱っている病院も多く漢方を処方されることもあります。その他にもカウンセリングや自律訓練法、バイオフィードバック療法など様々な治療法が試されてその方に合う治療法を模索されます。

自律神経失調症に対する当院の治療

当院には自律神経測定器が置かれており、自律神経の状態を測定したうえで自律神経のバランスを整える治療をしていきます。現在の自律神経の状態を把握することはとても重要です。自分の意識とは無関係に働いているのが自律神経であり、自分の感じている自律神経の状態とは違った結果が出る場合もありますので、もちろん問診をしっかりと行い、問題となる生活習慣や環境などを洗い出していきますが、最終的には測定結果と照らし合わせて治療法や使用するツボを決定していきます。
東洋医学では局所的に診るよりも全体的な状態を把握してどこが弱っているかまたは強くなりすぎているかという部分を見極めてそれらを整えることで全体に気血を行き渡らせて状態を改善させていきます。

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自律神経の状態を改善させるポイント

自律神経の乱れにより体の調子を崩しているということは体がこのままの生活を続けていると耐えられないという信号を送っているということです。その問題点をしっかりと見つめ直して改善していかないといくら薬を飲んでもいくら治療をしても改善の方向には向かいづらいです。
当院の鍼灸治療も生活環境や生活習慣を改善していくことが前提で治療していきます。確実に治療効果を上げるためには必要なことです。生活の改善ポイントは人それぞれですが、代表的なものとして
・早寝、早起きを心がけて規則正しい生活を送る
・自分なりのリラックス法をつくる(音楽鑑賞がヨガなど)
・夜遅くまでの仕事をしない
・一日三食ある程度決まった時間に摂る
・ビタミンCの多い食材を意識的に摂取する(ホウレンソウやオレンジなど)
・カルシウムの多い食材を意識的に摂取する(小魚や乳製品など)
・朝のウォーキング
・夜はゆったりと湯船に浸かり、副交感神経を高める
・デスクワークなどの仕事の合間にストレッチを行う

症例①

30代女性
1か月ほど前から体がなんとなく重たく感じていて仕事の疲れのせいかなと思ってそのまま過ごしていたが、2週間ほど前から軽い頭痛やめまいを感じたため、病院で一度検査を受けた。CTなどの検査を受けたが、特に異常はみつからずに軽い自律神経の乱れ・自律神経失調症と診断されて、頭痛薬と漢方を処方されて様子を見てくださいと言われた。
薬を飲んで1週間ほどは落ち着いていたが、仕事がまた忙しくなり頭痛とめまいを感じるようになってしまった。すると、薬を飲んでも症状が軽くならず、不安となり動悸や息切れ、食欲不振ときに吐き気をもよおすようになってしまった。病院で再度検査をしてもらったが結果は同じで処方された薬も変わらずに休養するように言われた。
そこで、ホームページで自律神経の状態を測定できるということを見つけてご来院された。
自律神経測定(午後1時頃)
自律神経の状態を測定したところ、交感神経の活動が活発で副交感神経の活動が交感神経の活動よりも抑えられていないといけない時間帯にもかかわらず、二つとともの活動レベルが低い状態でした。

治療

しっかり時間をかけて問診をして自律神経測定器の結果も踏まえて施術していきました。手足の冷えが強く、逆に背中やお腹の皮膚表面は温かく熱のバランスが悪いように感じました。それら熱のバランスや自律神経のバランスを整えて気血が全身に滞りなくめぐるように治療しました。
1回目の治療後、帰宅するととてもだるさを感じてお風呂にも入れず、就寝したとのこと。久しぶりの快眠で朝起きると爽快感があった。しかし、2日過ぎると状態は戻ってしまい2回目・3回目の治療後も同じような反応だった。
治療5回目を終了した時点で再度自律神経測定器で自律神経の状態を計測したところ、若干交感神経と副交感神経の活動レベルは回復しており、回復傾向にあった。そのころから体のだるさを感じにくくなり、頭痛薬も飲むことが減ってきた。
治療10回目を経過したころになると、食欲も戻りだいぶ体調の良いころの生活に戻ってきた。ご本人としてはまだまた体調が悪化してしまうのではないかという不安感があるということで治療間隔を延ばしながら、不安感が消えるまで治療した。全部で治療16回で治療を終了した。

 

症例②

20代男性

もともと緊張しやすい体質で、人込みや満員電車などの人が多くいる場所、仕事での接客など人と接する場面などになると特に緊張感が強く出る傾向があった。

1年程前から緊張感が強くなると腹痛になりガスが溜まるようになってしまった。

病院では過敏性腸症候群ガス型と診断され漢方を処方された。

薬があまり効果が出ず、埼玉在住だが近くには自律神経を専門にしている鍼灸院が無いためインターネットで当院を見つけ来院された。

治療

1回目。自律神経測定器の結果、身体的ストレス、精神的ストレスが共に非常に高い状態で、触診も全身の筋肉が緊張していて鍼が入りにくい状態だった。

自律神経の状態を整え全身の緊張をとり、心が落ち着くツボに円皮鍼を貼って終了。

2回目~4回目。全身の緊張が少しずつ解消し、それに伴い過敏性腸症候群の症状も改善されてきた。

もう少しで症状も治まる思われ、現在も通われています。

 

症例③

三十代 女性

最近ストレスが重なり、胃の痛み、生理不順、頭痛、耳鳴り、睡眠が浅いなどが一気にでてきたため病院を受診して治療を受けた。病院では自律神経失調症と診断されたが主な指導は休んで生活習慣を整えて下さいと、今の自分の生活環境を理解されなく失望したそうです。

病院での治療を諦めて鍼灸院を探したところ当院に来られました。

自律神経測定器では、交感神経優位でアンバランスな結果がでました。

治療は、腹部や手足の経穴で整えて副交感神経をあげていきました。

痛みが少ないよう、お灸を中心に心地良い刺激で行なったところ、治療中に眠られました。

終わった頃には手足が温かくなり、眠気を感じたそうです。

副交感神経を上げるよう治療を続けたところ、上手く改善していき、症状はほとんどでていないそうです。

プロジェクトや繁忙期になると、症状が現れるので今では辛くなった際に通院してもらう形で治療を行なっています。

 

 

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Posted by 鍼 渋谷α鍼灸整骨院 東京都 渋谷区 at 12:22 / 院長コラム

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