一度の治療で大幅に改善した内くるぶし周辺(後脛骨筋腱炎)の痛み

2018年9月22日

【内くるぶし周りの痛みとは?】

今回は内くるぶしの後方から下方にかけての痛みが、一回の筋膜調整で大幅に改善したので、ご紹介致します。

 

 

内くるぶし周囲の痛み。

整形外科では後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)と言われる疾患ですが、特に内くるぶしの後方から下方にかけて痛みが出るのが特徴です。

 

ここには後脛骨筋(こうけいこつきん)という足のアーチを作り足関節や足部の機能を保証している筋肉の腱が通る部分です。

 

主に使い過ぎなどによってこの腱に炎症が起こる事で、痛みが出るとされています。

 

症状としては、痛みの他に炎症所見である赤み、腫れ、熱感なども見られます。

 

痛みは運動などによって悪化しますが、安静にしていると引いてきます。

 

重症になると後脛骨筋の機能が低下する事で足のアーチが維持できなくなり、扁平足や足首の変形が生じてきます。

 

 

 

【後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)の原因は?】

一般的に後脛骨筋の使いすぎによって発症するとされています。

 

具体的にはランニング、ジャンプ動作、ハイキング、バスケットボール、サッカー、テニスなど、足への衝撃の大きいスポーツで長期に負荷がかかる事で起こりやすいようです。

 

今回のケースでも、趣味でランニングや登山をやられている方でした。

 

当院に来られるランナーの方はだいたいこの後脛骨筋腱炎、その他にはシンスプリント(脛の内側の痛み)、腸脛靭帯炎(膝の外側の痛み)、足底筋膜炎(足裏の痛み)のいずれかが多く見られます。

 

 

 

【後脛骨筋腱炎の一般的な治療法とは?】

このように後脛骨筋腱炎は、足への衝撃の大きいスポーツによって、後脛骨筋の腱に長期の負荷がかかるために起こるとされているため、整形外科での第1の治療法は「安静」です。

 

 

でもスポーツをされている方が安静にしろと言われるのは、本当に辛いですよね?

 

試合が近いのに練習も出来ない、、、

レギュラーから外されるかもしれない、、、

楽しみのランニングができない、、、

 

 

百歩譲ってこれで完治するならまだしも、多くの場合運動を再開したら痛みも再発してしまいます。

 

つまり安静というのは治療になっていないという事です。

 

今回のケースの方も、3kmくらい走ると痛みが出ていたにも関わらず、一回の筋膜調整で、安静にしなくとも20km以上走れるようになったそうです。

 

 

 

また多くの場合行われる治療としては、抗炎症剤の服用やステロイド注射、インソールの使用が挙げられます。

 

しかしこれらの治療もあくまでも痛みを感じさせない治療=対症療法であって、完治は難しいのが現実です。

 

よっぽど重症になると手術も行われます。

 

 

また整形外科でなかなか治らない場合、鍼灸治療を行う方もいらっしゃるかもしれません。

 

私もこれまでは多くの後脛骨筋腱炎の方に鍼治療を行って来ました。

 

特に患部だけでなく、後脛骨筋のトリガーポイントや股関節・膝関節に関与する筋のトリガーポイントなどに対して鍼を行っていました。

 

そうすると治療後数日は痛みが消失しますが、ある程度の距離を走るとまたすぐに痛くなってしまう事がほぼ全てのケースで見られました。

 

このように鍼灸治療では速効性はあるものの、持続性に問題があります。

 

 

【後脛骨筋腱炎の根本的な原因とは?】

ではなぜなかなか治らないのでしょうか?

 

それはとても単純で、根本的な原因に介入出来ていない、からです。

 

根本的な原因に介入出来ていない治療は、程度の差はあれど全て対症療法に過ぎません。

 

なぜならランニングなどで再び使用したら痛みが戻ってしまうからです。

 

 

では根本的な原因は何でしょうか?

 

 

それは治療結果から見て、おそらく「筋膜の歪み」であると思います。

 

今回のケースでも2箇所の筋膜調整を行っただけで、3km→20kmまで走行距離が伸びました。しかも以前のような強い痛みは出なかったそうです。

 

 

様々な痛みと筋膜の歪みの関連については別の機会ご説明したいと思いますのでここでは簡単にお伝えしますが、

 

筋膜には痛みのセンサー、位置感覚のセンサー、動きのセンサー、筋出力のセンサーなど各種センサーが埋め込まれています。

 

ここで様々な原因により筋膜に歪みが出来てしまうと、これらのセンサーも誤作動を引き起こしてしまいます。

 

すると痛みを感じたり、筋肉の協調性が失われる事で偏った負荷がかかったり、筋緊張のバランスが崩れたりします。

 

こう言った事が運動時にある部分に痛みを生じさせてしまうのです。

 

そして筋膜は全身に連携して広がっているため、足の痛みがあったとしても、原因は股関節や膝周りの筋膜にある事はごく普通に見られます。

 

 

ですので原因部位をしっかりと見つけ出して、その筋膜の歪みを解消する事で痛みが根本的に改善していくのです。

 

 

 

【改善症例】

30代男性。

趣味でランニングやハーフマラソン、登山などをやられている。

 

しかしここ1年くらいは短い距離のランニングでも左の内くるぶしの後方から下方にかけて痛む。何日か走らないでいると痛みは引いていくが、再度走るとまた痛くなる。

 

時には親指の辺りや土踏まずまで痛みを感じる事がある。

 

 

これまでの怪我や痛みとしては、

 

4年前…左膝外側痛(腸脛靭帯炎)

2年前…左下腿内側痛(シンスプリント)

1年前…左後脛骨筋腱炎

 

と言った既往歴がありました。

 

全て左で、ランナーに特徴的な痛みばかりでした。

 

その他に骨折やけが、内臓の不調はありませんでした。

 

 

痛みの動作を確認してみると、左足を内側へ曲げるような動作(後脛骨筋を収縮させる動作)で患部に痛みが現れます。

 

 

触診をしてみると以下の図の◯の部位に筋膜の歪みが見られました(左膝裏と左ふくらはぎの内側の2箇所)。

 

 

 

 

おそらく4年前の腸脛靭帯炎によって膝後方の筋膜の歪みが生じ、それが下の方へ代償していった結果、足に痛みが生じたのではないかと考察しました。

 

 

この2箇所の筋膜調整を行ったところ、

 

 

まず左足を内側へ曲げる動きによって出ていた、内くるぶし周囲の痛みはその場で消失しました。

 

そして後日来院された時にお話を聞くと、

 

3kmくらい走ると痛みが出てしまいそれ以上走れなかったのが、治療後は20km走っても以前のような痛みは出なかったとの事でした。

 

まだ完全ではないので、あと数回調整する必要はあると思いますが、1回の筋膜調整でここまで改善しました。

 

 

この結果から見ても、おそらく原因は筋膜にあったと思います。

 

もしなかなか改善しない後脛骨筋腱炎でお困りの方は、ぜひ一度筋膜調整を受けてみてはいかがでしょうか。

 

 


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 15:44 / 院長コラム

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