躁うつ病の鍼灸治療

2016年6月1日

躁うつ病(双極性障害)

躁うつ病は、躁状態とうつ状態を繰り返す症状です。うつ病は、長い間うつ状態で悩まされますが、躁うつ病の場合は気持ちが高まり、仕事や家事などをいつもより軽快にこなせる時期があるためにうつ状態の時に単なる怠けと捉えがちとなってしまい、診断や発見の難しい病気の一つです。

しかし、躁うつ病は、うつ状態の時に自分を責めやすく、うつ病よりも自殺率の高いとても怖い病気です。どの年代でもかかってしまう可能性のある病気ですが特に20代女性の方の罹患率が高いです。

躁うつ病の場合、躁状態の時にしか病院を受診しないためにうつ病と診断されることも少なくありません。病院を受診していない時期の生活もちゃんと主治医に伝えることで始めて発覚することがあります。多くの方は、躁状態の時よりもうつ状態の期間が長く、それもうつ病と間違えてしまう可能性を高めます。

パニック障害

 

双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害

躁うつ病は今では双極性障害と言われ、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害に分けられています。

双極Ⅰ型障害は、躁状態とうつ状態がはっきりしており、以前より躁うつ病と診断されていたのはこの双極Ⅰ型障害に当てはまります。躁からうつへの転換期は、緩やかに起こり、躁状態でもうつ状態でもない時もあります。躁状態の時は、本人も元気で病気の自覚がないので軽視しがちですが、躁状態の時に他人に攻撃的となったり、仕事や家庭でのトラブルが起きやすいのは実はこの躁状態の時なのです。双極Ⅰ型障害は双極Ⅱ型障害よりも重症な場合が多く、深刻な事態を招きかねませんので注意が必要です。

 

双極Ⅱ型障害は、軽い躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。軽い躁状態なので診断が比較的難しいようです。双極Ⅰ型障害のような躁状態の時に他人とトラブルとなるケースは少なく周囲も気付きにくいです。

軽い躁状態とは、何となく気分が高揚して軽快に仕事や家事がこなせる状態が少なくとも4日以上続く状態です。その状態の後、躁状態でもうつ状態でもない時期を過ぎて、双極Ⅰ型障害より長いうつ状態が続きます。双極Ⅱ型障害の場合、長いうつ状態が続くためにうつ病と診断されたり、本人自身もうつ病と認識されている場合が多いです。

 

 

躁うつ病の原因

躁うつ病の原因ははっきりとわかっていません。それは、遺伝的要因や環境要因などが複雑に関わっていると考えられているためです。

遺伝的要因として、躁うつ病を発症する親族に同じ病気で悩んでいる方が多く、環境的要因としては育った環境で慢性的なストレスを受けてる場合に発症しやすいと言われています。

また、躁うつ病にかかりやすい性格にも特徴があり、発症前は社交的で周りにも気を遣えて周囲の人の評判がいいのが特徴です。周りから見ると仕事も家庭が順調だが、過労やストレスで発症することもあります。

 

 

うつ病と見分けるチェックポイント

躁うつ病とうつ病との大きな違いは、やはり躁状態があることです。多くの方は、うつ状態から始まり躁状態や軽躁状態に転換して以後それらの状態を繰り返します。うつ病と見分けるポイントとしてうつ状態となる前にあります。

うつ状態になる前に

☑これまでにないくらい仕事や勉強、家事などがはかどり、気分爽快の時があった

☑アイディアが次々と思い浮かび、自分はとても優れていると感じる

☑自身に満ち溢れて他人の意見を受け入れられず自分が絶対正しいと思う

☑睡眠時間が少なくても眠気を感じずに仕事などができる

☑他人がすることに理由もなく腹が立ち、いつもイライラしていた

☑お金の使い方が荒くなり、衝動買いをしてしまう

 

これらの状態があった場合、躁うつ病の疑いがあります。専門医の診断を受けることをお勧めします。

 

 

病院での治療

正しい治療を受けなかった場合に自殺率が非常に高いのが躁うつ病の一番怖いところです。病院では、主にその状態に応じた薬が処方されます。

大体は、気分安定薬や抗不安薬、抗うつ剤や眠れない場合の睡眠薬が処方されます。それと並行して認知行動療法や心理療法などのカウンセリングが行われる場合が多いです。

 

 

当院での治療

当院では自律神経測定器を用いて自律神経の状態を計測して治療します。躁うつ病の方の場合、自律神経の状態もその日によってかなり変化していきます。自律神経測定器でこまめに計測して現在の自律神経の状態を把握することは、躁うつ病治療の特に重要な部分だと考えています。

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また、東洋医学で広く用いられている脈診や腹診を駆使して弱っている臓腑や逆に活動が強すぎる臓腑を見つけ出してそららのバランスを整える施術もしております。治療ペースの目安は最初の一か月間は治療間隔をつめて、週に2~3回ほどの治療間隔でその後徐々に治療間隔を延ばしていきます。

 

 

症例

40代 男性

6年ほど前に職場環境や家庭でも子供が生まれて家庭環境も変化が激しかった。その時は特にストレスに感じず、残業で終電や徹夜、早く帰れた時も子供の世話や家事などをしてほとんど休める時がなかった。

ある時から突然寝つきが悪くなり、ほぼ寝ないで仕事に行く時もあり体に疲れが溜まっていった。仕事もやる気が出ずに集中力も低下してミスも多くなった。体の倦怠感もひどく、仕事も休みがちとなったので病院を受診したところうつ病と診断された。

一か月間の仕事を休み、治療に専念した。徐々に体が回復してある日突然体がスーッと楽なった感じがしてそれが3週間ほど続いた。職場に復帰してからも今まで以上に仕事がこなせるような気がして軽快に仕事をこなしていたが、少しするとまた気分の落ち込みややる気の低下が出た。前回よりも程度がひどく、朝布団から起きることができないほどとなってしまった。また、病院を受診したところ今度は双極性障害と診断された。

当院の治療

当院にご来院されたころ、一回目のうつ期よりも強いうつ気分に襲われて気持ちも相当落ちているように感じていました。

まずは自律神経の状態を計測してしっかりと時間をかけて問診した上で治療に入りました。 一回目の治療後、体が少し楽になったように感じてその日はいつもよりも睡眠時間が長くとれた。本人は早く薬を減らしたいとのことで病院を受診することを拒んだが、薬をやめたときにその反動が起こる可能性があると説明してびょいんと並行して当院にも通院していただきました。

10回目までの治療で少しずつ気分をコントロールできるようになってきたと感じ始める。そう状態の時でもなんとか自分でブレーキをかけられるようになってきた。

16回目の治療が終了してから少しずつ職場に復帰されるようになりました。双極性障害は、油断してまた不摂生な生活やストレスがかかるとまた状態が悪化する可能性があり、長期的な治療が必要ということを説明して、治療頻度を2週間に1回程度で現在も通院中です。

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Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 13:56 / 院長コラム

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