2024年11月28日
うつ病とは、脳の神経伝達物質がうまく働かない状態を指し、明確な原因は未だ分かっていませんが、主に精神的ストレスや身体的ストレスが要因とされています。気分が憂鬱になり、意欲が出ないなど心理的な症状のほか、睡眠障害、摂食障害、倦怠感など身体にも不調が現れます。
うつ病は大きく2つの種類に分けられます。
大うつ病性障害とは気分の落ち込みが長く続く状態で、意欲や思考の低下により、日常生活が著しく制限される症状があげられます。
双極性障害は気分が良い状態(躁状態)と、気分が落ちん込んだ状態(うつ状態)が繰り返される症状です。躁状態とは、気分が高まり、非常に活動的になります。寝ずに歩き回ったり、誰かと話していないと気が済まない状態です。
厚生労働省のホームページによると、うつ病の12ヶ月有病率は2.2%、生涯有病率は7.5%であり、これまでにうつ病を経験した人は約15人に1人、過去12ヶ月間にうつ病を経験した人は約50人に1人という結果がでています。
最近では「うつ病」という言葉を多く聞く機会が増えたように思えます。以前よりも身近な病気になったことにより、治療法も増え、周りの理解も得やすくなりました。ぜひ、お悩みの方は早めの相談をすることが大きな一歩となります。
責任感が強い、真面目、完璧主義、周りの人からの評価が高いなどといった方がうつ病になりやすいと言われています。また、環境要因や身体的要因が発症の原因となります。特に人間関係や環境の変化に対するストレスがきっかけとなることが多く、心身のバランスが崩れてしまうことがうつ病の原因とされています。
うつ病は1つのことが原因で起こるのではなく、様々要因が重なり発症すると言われています。自分の気持ちの変化、身体の変化に気づいてあげることが大切です。
うつ病が疑われる場合は、「精神科」や「心療内科」などを受診しましょう。主な治療法は以下になります。
薬物療法では主に「抗うつ薬」が用いられます。脳内のセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンという神経物質を増やしてくれるお薬です。気分の落ち込みを解消します。また一人一人の症状にあわせて、「抗不安薬」「睡眠導入剤」「気分安定薬」などのお薬も併用します。
認知行動療法とは認知(ものの見方や考え方、捉え方)に働きかけ、ストレスのコントールができるようにすることです。認知を整えることで、あらゆる場面でのストレスが軽減され、気持ちが楽になります。うつ状態の考え方から新しい考え方を見つけることが認知行動療法の特徴です。
対人関係療法とは自分にとって身近で、かつ重要な存在である人を定め、いかにその人との良好な関係を築いていけるかに焦点を当てた治療法です。コミュニケーションや接しする時の態度などを考え、実行していきます。
当院では鍼灸で五臓の機能を高める施術を行います。五臓とは「肝・心・脾・肺・腎」のことであり、「こころ」と密接な関係にあるとされています。
ストレスが溜まると「肝」に負担がかかり、よく眠れないなど睡眠に影響が出てきます。また、考えすぎたり、悩み事が増えると「脾」に影響し、胃が痛くなったり、食欲減退が症状として現れます。そうすると、「心」が不安定な状態になります。精神的に不安定な状態が続くと、「腎」の働きが弱まり、物事に対して意欲が出ない状態になります。
また、冬の季節は特にうつ病の発症が多い時期になります。これは「肺」の機能が寒さによって弱まっているからです。「肺」は気候の影響を受けやすいのです。このように「肝・心・脾・肺・腎」の五臓はそれぞれに深い繋がりがあり、1つの機能が弱まると他の臓器にも影響します。
五臓の働きを整えることによって、うつ病の症状も自ずと改善するしていきます。当院では、『自律神経測定器』を持ち入り、交感神経と副交感神経のバランスの状態や変化を確認します。自分がどのくらいのストレスを受けているかを身体的、精神的に把握することができるので、自分では気づきにくい身体の状態が目でわかります。その結果により、施術の効果を分かりやすく可視化し、施術方針を決めることができます。
休養
活動量に応じて十分な休息をとることにより、心身共に疲労の回復を目指しましょう。リラックスし、趣味の時間を設けることにより、ストレスをリセットすることができます。
食生活
不規則な食事や偏った栄養素の食事は避け、3食きちんと摂取しましょう。主にビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、脂肪酸などの栄養素をバランスよく摂取することが望ましいとされています。
適度な運動
ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動は、脳内ののセロトニンが多く分泌され、ストレスの軽減や落ち込んでいる気分の改善ができます。また、運動は睡眠の質を向上させる効果があるため、良い睡眠が得られることにより、さらに日常生活でのストレスに対する対処能力が向上します。
日光浴
日光を浴びるのことでもセロトニン、別名「幸せホルモン」が分泌されます。午前中に日光浴をすることによりさらに高い効果が期待でき、ビタミンDが生成されます。心と身体の健康のために、そして規則正しい体内時計を整えるために、しっかりと日光を浴びましょう。
うつ病は自分でもなかなか気付きにくい病気です。また、周りにも理解を得にくい症状であるため、余計に悪化してしまう恐れがあります。日頃からストレスを溜めず、自分の身体の変化に耳を傾けましょう。鍼灸によって、うつ病予防の施術をすることも可能です。人間関係、仕事の忙しさ、環境の変化に心当たりのある方はぜひ、定期的な鍼灸施術で心身の不調をリセットしましょう。
20代 男性
3年前から抑うつ気分になることが増え、徐々に症状が悪化したので現在は服薬をしている。
朝起きた時から家出るまでは特に気分が落ちて体がだるく、外に出るのがとても辛い。
仕事には集中できず頭がぼーっとするときがある。夕方になると強い眠気に襲われ、仕事に手がつかなくなる。
対して、夜には目が覚めてしまいうまく寝ることができず、睡眠導入剤を服用してなんとか眠っている。
仕事柄、首や肩、背中は緊張して固まっており、足元は常に冷えている。
3年間症状は強まり、薬に頼ってなんとか生活しているが、薬に頼らずに日中の仕事を頑張りたい思いで来院された。
【当院の施術】
まず仰向けの施術で手足やお腹、頭に鍼とお灸をして自律神経の調整を行いました。自律神経を整え、全身の血の巡りをよくすることで体の回復力が高まります。
また、うつの症状がある際は脳の血流量が低下しています。脳の血流量が低下することで抑うつ気分になりやすくなります。頭の鍼は脳の血流量を増加することが分かっており、頭に鍼をすることで脳の血流量改善を図りました。
次にうつ伏せの施術で首や背中の緊張をとり、リラックスして体が休めるようにしました。
足元の冷えにはお灸をしていきました。始めは週1~2回、3回目以降は週1回の頻度で施術していきました。
1回目
心地よい施術で、お灸も温かく、リラックスできた。
3回目
施術を受けた翌日はだるさが軽減して、いつもより朝の支度がスムーズにできた。
7回目
1週間のうち3~4日は楽な日があり、以前より仕事にも力が入るように感じる。
12回目
朝の辛さは8割ほど軽くなり、仕事以外にプライベートの時も外に出かけられている。
Tags: 渋谷、鍼灸、うつ病、躁鬱
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 14:48 / 院長コラム