2016年5月27日
腸脛靭帯炎は、膝の外側に起こる痛みで、腰の外側から膝の外側に付く腸脛靭帯が膝の骨と擦れあって発症します。この痛みは動き出してから徐々に強くなっていくことが多く、スポーツ選手や、膝のアライメントが悪い人になりやすいです。
ランニングをする人に多くみられることから、「ランナーズニー(膝)」とも呼ばれてランニング障害の一つとされています。また、成長期で骨と筋肉の成長スピードが違う場合にも起こりやすいです。
原因にはランニングなどのオーバーユース(使い過ぎ症候群)や下肢のアライメント異常、シューズの問題などがあります。オーバーユースでは、身体の柔軟性や筋肉の疲労により起こってしまうので筋肉が柔軟性を取り戻し炎症が引くまではスポーツを控えていただくと軽快することが多いです。下肢のアライメントは、元々もっている骨や関節の形によるものが多いので、筋肉や関節の柔軟性と関節の矯正が必要です。
インソール療法などの足元から形を整えていく治療法も有効です。
ランニングをする際の環境で、硬いアスファルトの上ばかりでしたら柔らかい芝の上などに変えて、硬いシューズや自分の足に合ってないものを履いている場合はシューズからかえてもらうと良いです。
腸脛靭帯は、腸骨翼に起始し、脛骨のガーディー結節に停止します。
動きは、股関節の屈曲や進展に伴って大転子やガーディー結節部を滑動します。腸脛靭帯の役割は腸脛靭帯に付く大腿筋膜張筋の収縮に伴って膝の安定を作ります。靭帯は収縮性が筋肉よりも乏しく硬い性質です。そのため安定性には優れています。
この靭帯は大殿筋と大腿筋膜張筋の収縮に影響され姿勢保持に大きく関係します。長い靭帯のため起始部より停止部付近での過労性障害が起きやすいです。
保存療法が原則です。原因となるえる行動や習慣を控えてもらいストレッチングや筋肉の柔軟性がでるように指導されます。
リハビリテーションでは、炎症を抑えるようアイシングなどをして筋肉の機能や関節周囲の改善を行います。温熱療法や電気刺激療法、股関節外転運動の強化などです。
上記以外にもランニングフォームの改善やインソール療法(足底板)などを行います。
腸脛靭帯炎の徒手検査法としてグラスピングテスト(grasping test)があります。これは膝を軽く曲げた状態で腸脛靭帯を圧迫することで痛みを再現させる方法です。このテストが陽性だと腸脛靭帯炎と判断されます。
膝関節周囲の痛みとして半月板損傷がありますので鑑別するためにX線検査やMRIなどを行うことがあります。
稀に症状が強く保存療法で効果がない場合に手術療法の可能性もあるそうです。
腸脛靭帯上の圧痛部位を避けて周囲に鍼を刺して少し時間を行う置鍼療法を行います。状態によっては刺した鍼に電極を繋いで通電パルス療法を行います。
お灸も用いて圧痛部の炎症はお灸を使って炎症を引かせていきます。患部に熱が充分に伝わるようにして白血球を集めて炎症を鎮める目的です。
大腿筋膜張筋や大殿筋の筋肉の緊張を緩和させるために置鍼を行います。直接は関係しませんが、腓骨筋や前脛骨筋の緊張をとることでも腸脛靭帯の柔軟性に繋がるのでこの二つの筋肉も治療します。
治療目的としては腸脛靭帯に関係する筋肉の緊張緩和と炎症を抑えていくことです。
効果が乏しいようであれば、腸脛靭帯に沿って刺鍼し、電気通電療法を行います。筋肉が軽く収縮する程度に12分間低周波治で電気通電療法を行います。
腸脛靭帯の下にある外側広筋も治療することで効果が上がることもあります。腸脛靭帯は外側広筋の上を滑走するので外側広筋を緩めることも治療効果に繋がりやすいです。
使用する経穴として、キョリョウ カンチョウ チュウトク ヒカン 風市 陽陵泉を使います。
損傷がある場合には自己の回復量が症状早期改善の鍵です。自律神経は自分の意思とは関係なく身体をコントロールしています。この神経状態が整っている状態ですと自然治癒力が最大限に発揮されます。逆に整っていない状態ですと治癒が遅れること以外にも痛みを強く感じやすく負の連鎖で症状を悪くさせる原因ともなりえます。
当院では自律神経測定器により交感神経と副交感神経のバランスを測る事ができます。自律神経のバランス以外にも身体的ストレスや精神的ストレス、疲労度などを調べることができ、より多角的に症状を診ることができます。
測定器のデータを元に治療を組み立て最高の治療効果がでるよう施術します。
髪の毛より細い鍼を用い痛みが限りなくでないよう治療します。
始めは悪い癖がついていることが多いので始めの5回程度は詰めて施術を受けていただくことをおすすめします。一週間以内に1~2度のように詰めて施術を受けて頂くようにお願いしています。悪い癖がとれて良い癖がついてくると後は自然に治っていきますので症状緩和に合わせて二週間に一度、一か月に一度と伸ばしていきます。
腸脛靭帯炎の原因で下肢のアライメントが悪い場合には継続して治療を行うことがあります。使い過ぎやシューズの問題はストレッチ指導などで充分ですが、アライメントの問題は筋肉状態や痛みの出方により継続して治療をする必要があります。
骨と関節はどうしても治らないものがありますので、痛みがでない状態をキープできるようサポートしていきます。
腸脛靭帯炎でお悩みの方は一度渋谷α鍼灸院へお越しください。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 12:20 / 院長コラム