東洋医学から診るパーキンソン病

2025年8月27日

「東洋医学から診るパーキンソン病」— 震えやこわばりの根本原因に迫る

もし、手足が震えたり、思うように体が動かせなくなったりする症状に悩んでいるなら、それは単なる老化や気のせいではないかもしれません。

近年、高齢者を中心に増加している「パーキンソン病」は、神経の伝達物質であるドーパミンの減少が原因とされています。

しかし、この病気を西洋医学とは全く異なる視点、「東洋医学」から深く考察することで、症状の根本原因に迫り、改善への道を開いています。

東洋医学から見たパーキンソン病の「本当の姿」

西洋医学では、パーキンソン病を「神経の病気」と捉えますが、東洋医学では、それを「五臓六腑のバランスの乱れ」として判断します。

特に重要なのは、体のエネルギーである「」、栄養分を運ぶ「」、そして体の潤いを保つ「」の3つの要素です。これらの巡りが滞ることで、さまざまな不調が引き起こされると考えます。


震え(振戦)は「風(ふう)」の仕業

東洋医学では、震えを「風」の動きと捉えます。体に本来ないはずの「風」が、五臓の「肝(かん)」の機能を低下することで体内に生じ、それが手足の震えや不随意な動きとして現れるのです。これは、体の中で嵐が吹き荒れているような状態です。

筋肉のこわばり(固縮)は「血」の不足

筋肉を柔らかくしなやかに動かすためには、十分な「血」が不可欠です。

しかし、パーキンソン病では、全身に血が行き渡らない「血虚(けっきょ)」の状態に陥りがちです。

特に筋肉を養う「肝血」が不足すると、筋肉は栄養を得られず、固くこわばってしまいます。

動作の緩慢(寡動)は「気」と「精」の不足

体を動かすためのエネルギー源である「気」が不足すると、動作は鈍くなります。

また、生命活動の根本的なエネルギーである「腎精(じんせい)」が不足すると、体の機能全体が低下し、歩行が困難になるなどの症状が現れます。これは、体のバッテリーが切れてしまったような状態です。

このように、東洋医学では、単一の病気としてではなく、患者様一人ひとりの体のバランスの崩れを詳細に分析し、「証(しょう)」と呼ばれるタイプを特定します。

なぜ鍼灸治療がパーキンソン病に効果的なのか

鍼灸治療は、この「気・血・水」の乱れを整え、五臓六腑のバランスを取り戻すことを目的とします。

体内の「風」を鎮める

震えを抑えるために、肝の働きを整える「太衝(たいしょう)」や、自律神経を調整する「内関(ないかん)」などのツボに鍼を打ち、体内で吹き荒れる「風」を静めます。これにより、筋肉の不随意な動きを和らげます。

筋肉を養う「血」を補う

筋肉のこわばりやスムーズな動きを取り戻すために、血液循環を促進する「三陰交(さんいんこう)」や、全身の血を補う「血海(けっかい)」などのツボを刺激します。

鍼治療は血行を促し、凝り固まった筋肉に栄養と酸素を届けます。

「気」と「精」を充実させる

動作を活発にするため、生命エネルギーを司る「腎」の働きを高める「腎兪(じんゆ)」や、全身の疲労回復に役立つ「足三里(あしさんり)」などのツボを使います。これにより、体の奥底から活力が湧き出るようになります。

当院の鍼灸治療がパーキンソン病にもたらす効果

当院では、日常生活がより楽に過ごすための症状改善を目指します。

当院では、初診時に詳細な問診を行い、患者様一人ひとりの生活習慣、ストレス、睡眠、食事などを徹底的にヒアリングします。

同じパーキンソン病でも、寒がりな人、イライラしやすい人、疲れやすい人では治療法が異なる場合があります。

鍼灸治療は、ドーパミンの減少を直接的に止めるものではありません。しかし、体のバランスを整え、自律神経を調整することで、薬の効果を高めたり、進行を緩やかにしたりする可能性があります。これは、病気と共存しながら、より良い未来の生活を築くための「予防的な治療」とも言えるでしょう。

パーキンソン病と向き合うあなたへ

パーキンソン病は、決して絶望するような病気ではありません。東洋医学には、症状と向き合い、生活の質を向上させるための多くの知恵と技術があります。

もし、あなたがこのコラムを読んで、自身の体と向き合うきっかけを得られたなら幸いです。

一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、あなたが再び自分らしい生活を送れるよう、全力でお手伝いします。


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 13:45 / 院長コラム

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