自律神経について徹底解説

2025年9月8日

自律神経とは

私たちの体は意識しなくても、心臓が拍動し、呼吸を繰り返し、胃腸が食べ物を消化し、体温を一定に保っています。

これらの生命活動を無意識に調整しているのが「自律神経」です。

自律神経は脳の視床下部を中心に全身に張り巡らされ、体のリズムを守る司令塔のような働きをしています。

私たちが眠っている間も、自律神経は休むことなく働き続け、体内環境を一定に保つことで健康を支えています。

・心拍、呼吸、消化、体温などをコントロール

・脳の視床下部を中心に全身に広がっている

・昼も夜も働き続け、体内環境を整えている

自律神経は生命活動を支える「縁の下の力持ち」といえる存在です。

自律神経のバランス

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、状況に応じて働きを切り替えています。

交感神経は活動時や緊張、ストレスに対応する働きを持ち、副交感神経は休息や回復、リラックスを司ります。両者はシーソーのようにバランスを取り合い、日中は交感神経が優位になり、夜間や食後には副交感神経が優位になるといったリズムを形成しています。

・日中や活動時 → 交感神経が優位

・夜や休息時 → 副交感神経が優位

自律神経は本来リズムをもって変動しますが、その波が崩れると「交感神経ばかり優位」「副交感神経が働きにくい」といった偏りが生じます。

また、睡眠障害・消化不良・倦怠感・動悸・不安感など、さまざまな不調が現れ、この不調が慢性化する可能性があります。

交感神経の働き

交感神経は「戦う・逃げる神経」とも呼ばれ、外界の刺激やストレスに対して体を瞬時に対応させます。

・心拍数や血圧を上げる

・筋肉へ血液を送り瞬発的な行動を可能にする

・瞳孔を広げ、視野を確保

・発汗を促し、体温を調整

仕事や運動など活動的な場面で交感神経が働くことは不可欠ですが、過剰に亢進するとイライラ、不眠、頭痛、肩こり、高血圧などを引き起こす原因になります。

交感神経の亢進・低下が起こるメカニズム

交感神経は「働きすぎ」ても「働き不足」でも不調を引き起こします。

亢進(働きすぎ)

脳が「危険」と判断すると交感神経が過度に働き、緊張状態が続きます。

・精神的ストレス

・過労・睡眠不足

・過剰なカフェイン摂取

低下(働き不足)

・血圧の低下

・立ちくらみ

・栄養不足

・慢性的な疲労

・自律神経の調整力の低下

交感神経は「オン」のスイッチである一方、過度に働きすぎても不足しても不調の原因になります。

副交感神経の働き

副交感神経は「休む・癒やす神経」と呼ばれ、体をリラックスさせ休息状態へと導きます。

・胃腸の働きを高めて消化を助ける

・心拍数や血圧を下げる

・体の修復や疲労回復を促す

・深い眠りや免疫力の安定につながる

心身を回復させる大切な神経ですが、現代人はストレスや生活習慣の乱れによって副交感神経の働きが十分に発揮できないというケースも多くみられます。

副交感神経がしっかり働くことで、健康的な休息と回復が得られます。

副交感神経の亢進・低下が起こるメカニズム

副交感神経も、過剰でも不足でも不調を起こします。

亢進(働きすぎ)

・強いだるさ

・低血圧

・胃腸の不調(下痢・胃もたれ)

低下(働き不足)

・浅い眠り

・免疫力の低下(風邪を引きやすい)

ホルモンバランスとの関係

自律神経はホルモンとも深く関係しています。両者は脳の視床下部を介して連動しています。

・交感神経が優位 → アドレナリンやコルチゾールが分泌され、体は緊張状態になります

・副交感神経が優位 → セロトニンなどが分泌され、心身が安定します

・自律神経の乱れは女性ホルモンや甲状腺ホルモンにも影響し、月経不順や更年期症状、代謝異常を引き起こします

自律神経とホルモンは一体となって体内環境を調整しており、どちらかの乱れはもう一方にも影響するのです。

自律神経の乱れに対する鍼灸治療の目的・効果

鍼灸治療では、乱れた交感神経と副交感神経のバランスを整え、心身の調和を回復させることを目的としています。

現代医学的には、ストレスや生活リズムの乱れによって自律神経が過度に緊張したり、働きが不安定になることで、頭痛、不眠、動悸、倦怠感、消化不良など多様な症状が現れるとされています。

鍼灸は、東洋医学的な「気・血・水」の巡りや臓腑の働きを重視し、全身の調整を行います。

施術内容としては、頭部や背部、自律神経に関連の深い頸部や腹部の経穴を中心に鍼やお灸を行い、全身の緊張を和らげつつ、内臓機能や睡眠リズムの改善を目指します。また、呼吸や脈の状態を参考にしながら、患者さんの体質や症状に合わせて経穴を選択するのも特徴です。

効果としては、自律神経の安定による不安感やイライラの軽減、睡眠の質の向上、冷えや頭痛など身体症状の改善が期待できます。即効性よりも継続的な施術により徐々に症状が和らぎ、ストレスに強い体質づくりに繋がります。

ツボへの刺激は、交感神経と副交感神経のバランスを調整し、血流を改善し、内臓の働きを活性化させます。また、鍼やお灸による温熱刺激は副交感神経を優位にし、深いリラックスを誘導します。これにより、頭痛、不眠、胃腸の不調、肩こり、冷え、動悸、不安感など、自律神経の乱れに由来するさまざまな症状の緩和が期待できます。

さらに、鍼灸治療はホルモン分泌にも作用し、ストレスホルモンを抑制しながら、セロトニンやエンドルフィンなど心身を安定させる物質の分泌を促すと考えられています。現代医学でも、鍼灸が自律神経活動を調整することを示す研究が増えており、薬に頼らない自然な方法として注目されています。

鍼灸治療のもう一つの利点は、「自分の体と向き合う時間」を持つことで症状改善に良い影響を与えることです。施術を通じて体が温まり、深い呼吸ができるようになると、患者さん自身が心身の変化を感じやすくなり、生活習慣の改善意識へと繋がります。つまり、鍼灸では単に症状を和らげるだけでなく、乱れやすい現代人の自律神経を健やかなリズムへ導くサポートが可能です。


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 12:12 / 院長コラム

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