2017年5月10日
最近当院には、「胸回り」の症状をお持ちの方が多く来院されています。
例えば、動悸、胸回りの火照り、息が深く吸えない、息苦しい、キューっと締め付けられるような胸の痛みなど、様々な症状があります。
ほとんどの方が当院に来られる前に病院に行って診察を受けています。そして「内臓には異常なし」との診断を受け、治療の機会を失っています。
そして、「内臓や血管には異常は無いのに、なぜ症状が出るのか?」
場所が場所なだけに、皆さん強い不安を抱えて来院されます。
1つの原因として考えられるのは自律神経のバランスが崩れ、内臓の機能を上手く調節出来ていない状態です。
そして自律神経の治療は、当院が最も得意とする治療でもあります。
ですが今日は少し視点を変えて、東洋医学の視点から考えて行きたいと思います。
最近来院された方は、「締め付けられるような胸の痛み」がありました。
病院でも異常はなく、自律神経のアンバランスじゃないかと言われたそうです。
結果から言うと、胸を通る腎経と背中を通る膀胱経の詰まりがあり、その詰まりを流すように治療すると、痛みはすっかり無くなりました。
その後も再発していないとの事です。
このように経絡の詰まりによっても胸の痛みというのは起こります。
では胸回りにはどんな経絡が通っているのでしょうか?
この経絡は胸の真ん中にある胸骨という骨のすぐ脇を通ります。
栄養が偏っていたり、加齢、手術や服薬、炎症が起きていると腎の機能は落ちていきます。
そして腎経にも詰まりなどの異常になると胸回りの症状や締め付けられるような痛みが現れます。
腎の不調があるとその他に、
精力減退、耳鳴り、難聴、足腰の重だるさ、頻尿、免疫力低下、不眠、無気力などの症状を伴います。
また腎と関係の深い内臓に「膀胱」があります。
腎の機能が低下すると、膀胱の機能にも異常が出てきます。
そしてこの膀胱の経絡は背中を通るため、このタイプでは胸回りだけでなく背中にも痛みが起こる事もあります。
この経絡は、胸の外側を通ります。
冷たい物や生ものを過食すると、冷えが生じて巡りが悪くなるだけでなく、冷えにより脾を傷めてしまい脾の不調を招きます。
偏った食事や栄養不足も脾の機能低下を招きます。
そして脾の不調があると脾経に詰まりなどの異常が起こり、胸回りの症状や締め付けられるような痛みが現れます。
脾の不調があるとその他に、
浮腫、倦怠感、話すのが億劫、食欲不振、軟便、息切れなどの症状が出てきます。
また脾と関係の深い内臓に「胃」があります。
脾の機能が低下すると、胃の機能にも異常が出てきます。
そしてこの胃の経絡も胸回り(鎖骨の中央から下にかけて)を通ります。
そのため脾経、胃経が共に詰まっている事で胸回りの痛みが出ているケースもよく見られます。
この経絡は胸の下(乳頭の下)辺りを通ります。
肝はストレスの影響をかなり受けます。強力で持続的にストレスを受けると、肝の機能低下が起こります。
そして肝の不調があると肝経に詰まりなどの異常が起こり、胸回りの症状や締め付けられるような痛みが現れます。
肝の不調があると、
肩や首のコリや張り、情緒不安定、怒りっぽい、イライラしやすい、ため息、ゲップ、お腹の膨満感、胸焼け、めまい、耳鳴り、頭痛、喉の異物感などの症状が現れる事もあります。
このように病院では異常の見られない胸回りの症状や胸の痛みであっても、東洋医学の視点で見ていくと原因がはっきりします。
問題のある経絡、不調を来している内臓を特定し、適切な治療を行う事で、症状は改善して行きます。
当院では上記の様な東洋医学からの観点と自律神経のバランスを重要視しています。一方向からではなく西洋医学からも見ることで多角的に症状を捉えて治療効果を上げていきます。
どちらかではなく西洋医学と東洋医学を融合させた治療方法で症状を改善させていきます。
当院では、自律神経測定器によって交感神経と副交感神経のバランスを調べられます。全身を支配する自律神経がストレス、生活習慣の乱れなどによってバランスが崩れると胸の締め付け感が現れます。
自律神経測定器の結果を基に治療方針を考えます。客観的データで自身のバランスが分かるので体調管理にも向いています。
定期的に計測して体質変化を目的に治療を行ないます。
反応が良い方でも一度の治療だけではバランスが整う事は少なく、定期的に治療を受けて頂くことで改善していきます。初めは一週間に一度のペースで来院されることをお勧めします。体質変化が出始めたら徐々に間隔を開けて治癒をめざします。
当院では東西両医学と西洋医学の観点から身体の状態を見ていく事で、適切な治療を行う事が出来ますので、「胸回り」の症状でお困りの方は、是非一度ご相談下さい。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 16:10 / 院長コラム