2021年10月21日
私たちの生活は機械やコンピューターのおかげで便利になり、多くの肉体労働から解放されることになりました。しかし日本中が疲れているのも事実です。
現代社会で、最もエネルギーを消耗しているのは感情を働かせること。
不安は常に最悪のケースを想像させ続けエネルギーを消耗させます。積極的に仕事をしようという時にも、驚き、興奮、焦りが生じています。怒っている人を見るとものすごいエネルギーを使っているのがわかります。
現代人は感情を働かせ、エネルギーを激しく消耗させることが異常に多くなっているのです。
疲労の原因は体の内面を活動させることによって生じる精神疲労が主体です。
人は比較や理想によって感情を発動させるのですが、メディアなどで流れてくるさまざまな情報は、自分の状況を「不十分だ」と感じさせます。その結果、悲しみや不安、怒り、焦りなどの感情を働かせることに繋がるのです。
また、多くの情報を選択し、分析する作業にたくさんのエネルギーを使っています。何かを選んでも他に良いものがあるのではないか、という不安や後悔が常について回ります。
そして精神的な疲労は自覚しにくく、蓄積し、悪化しやすいという特徴があります。
蓄積した疲労は、知らないうちに自分を蝕んでいきます。
仕事をしている時、少し苦しくても、他の人はまだ頑張っている、以前も乗り越えたから大丈夫だと考えがちです。しかし同じ仕事でも、体調によって消費するエネルギーは異なってきます。
疲労の蓄積量は、消費エネルギーと回復力の関係で決まります。体調によって回復力が小さくなると、以前と同じ仕事量でも疲労が蓄積してしまいます。
大きなストレスによって大きく感情が動く場合、疲れたと感じ、休んだりペースを落としたりすることができます。
しかし日常のちょっとしたストレスの積み重ねの場合、昨日と今日の差が明確ではないため、なかなかゆっくりしようという気にはなれません。
疲労感というものは、疲労の蓄積とともに徐々に感じるのではなく、ある時急に大きく感じられるものです。小さなストレスの連続によって気がついた時にはかなり疲労が進んでいるというのが、現代人の蓄積疲労の典型的なパターンのように感じます。
ある時突然限界を超えてしまい、思い当たる大きな出来事もないのに、急に苦しいと感じ、本格的なうつ状態に発展してしまうケースが多いです。
気のせい、自分の心の弱さと考えてしまい、社会生活を続けてしまいます。
これがより辛くしている構造です。
働けないモードで、社会で働き続ける。
長引けば長引くほど身体的な苦しさが募り、仕事は滞り、人間関係は崩れ、自分に対する自信が壊れていってしまいます。
小さな疲労の蓄積から、悩み、トラブル、体調不良が増え、悪循環にはまってしまいます。
この状態で働き続けることが、うつ状態をさらにつらくしてしまうのです。
もともと人間は、それほど気忙しく活動するようにはできていません。
急ぎ足の生活の中で、疲労し、ストレスがたまり、それを忘れるために快感を求めます。その快感は、薄味のものからどんどん刺激の強いものになっていきます。刺激が強ければ強いほど、体は強く反応し、多くのエネルギーを消耗します。
元気な時はそれでも良いのですが、うつ状態の時はそれではいけません。トータルで刺激の少ない時間を過ごすことが大切です。
刺激が多い現代人にとっては、とても薄味の時間と感じるかもしれませんが、疲労した体を癒すためには、そのくらいの方が必要かつ適切な刺激になるのです。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 12:16 / 院長コラム