後鼻漏でお悩みの方へ

2025年6月26日

 

後鼻漏とは、鼻腔や副鼻腔で産生された粘液(鼻水)が喉の奥に過剰に流れ落ちる状態のことを指します。

正常な状態でもある程度の鼻水は喉に流れますが、鼻水が多すぎる・粘り気が強い・炎症や構造的な異常がある場合、「痰が喉に張り付いている感覚」「咳払いなどをして喉を払いたくなる」という不快感が出てしまいます。

 

後鼻漏の原因となる主な疾患

慢性副鼻腔炎

副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)に炎症が起こり、その炎症が長期化し、海が溜まってしまう疾患。

副鼻腔に膿性の分泌物が溜まったり、副鼻腔内の粘膜が腫れ、排出経路を塞ぐことで鼻水が後方に流れてしまい、後鼻漏となります。

細菌感染が関与している場合が多く、鼻水は黄色や緑色になる特徴があります。

 

アレルギー性鼻炎

ハウスダスト・花粉・ダニなどに対して体が過剰に反応し、鼻粘膜に炎症が起こる疾患。

アレルギー反応で、鼻粘膜に炎症を起こし、大量のさらさらした透明の鼻水が出ます。

その鼻水が前に出ず、喉の奥に流れることにより後鼻漏を引き起こします。

 

慢性上咽頭炎

鼻と喉の境目(上咽頭)が炎症を起こしている状態を指します。

喉の奥の粘膜が慢性的に腫れており、鼻水が過剰に分泌されます。

この鼻水が常に喉に落ちてきて、痰が絡んだような不快感や、咳などの原因になることもあります。

 

後鼻漏が引き起こす二次的な問題として、慢性的な咳や、咽頭炎・気管支炎、中耳炎になる可能性があります。

後鼻漏の原因が何か突き止めるための検査として以下のようなものがあります。

内視鏡検査

アレルギー検査

CT検査

咽頭鏡検査

 

西洋医学的治療

薬物療法

抗ヒスタミン薬(アレルギー症状を抑え、鼻水を減らすため)

ステロイド点鼻薬(鼻粘膜の炎症を抑え、炎症部の腫れをとるため)

去痰薬(粘液をサラサラにして排出しやすくするため)

抗生物質(副鼻腔炎で細菌感染が疑われる場合)を服用します。

このほかにも鼻うがいや必要に応じて手術を行い、症状の改善を図ります。

 

東洋医学的所見

東洋医学では、後鼻漏のことをただ鼻水が喉に流れているとは考えず、体全体のバランスの乱れが原因で、鼻や喉に症状が現れているという考え方をします。

症状を引き起こす原因は人それぞれ異なり、こうした違いを東洋医学では、証(しょう)という考え方で分類し、その証に合った治療を行います。

以下に原因となりうる証をいくつかご紹介しますので自分に当てはまるものがあるかお確かめください。

 

脾の働きが弱っているタイプ(脾虚湿盛)

脾は食べ物を体内でエネルギーや水分に変え、全身に運ぶ役割を担っていますが、この機能が低下すると体の中に「湿気」(余分な水分)が溜まり、それがドロドロとした鼻水(後鼻漏の症状)として現れます。

また、このタイプの人の特徴として、食後に眠くなったり、軟便傾向、腹部の張り感、倦怠感などが感じやすい傾向にあります。

 

セルフケアのポイント

・冷たいもの、甘いもの、脂っこい食事を避ける

・食べ過ぎない、遅い時間の食事を避ける

・湿気の多い環境に注意する

 

肺の力が弱いタイプ(肺気虚)

肺は呼吸だけではなく、気に大きく関係し、鼻・皮膚・喉・免疫系を司っています。

肺の機能が低下することで、アレルギーや風邪などの外部からの影響を受けやすくなり、免疫力が低下し、鼻水が出やすくなってしまいます。

このタイプの人の特徴として、風邪をひきやすかったり、声がかすれやすい、息切れしやすいなどといった傾向があります。

 

セルフケアのポイント

・適度な運動を通して肺機能を高める

・朝晩の寒暖差に注意し、首や背中を冷やさない

・睡眠をしっかりとる

 

外の冷えが入り込んだタイプ(風寒)

冷たい空気を吸い続けたり、季節の変わり目で体が冷えたりすることで、体に「寒さの邪気(風寒)」が入り込みます。

風寒が入り込むと、鼻粘膜に侵入し、粘膜を収縮させてしまいその結果、鼻の通りが悪くなり水のようなサラサラした鼻水が喉の奥に流れやすくなってしまいます。

このタイプの人の特徴として、寒がり・首肩こり・頭痛などの症状が出やすい傾向にあります。

 

セルフケアのポイント

・首や肩を冷やさないようにする

・温かい飲食を心掛ける

・入浴、半身浴、足湯などで体を温めるようにする

 

ストレスや怒りが溜まっているタイプ(肝火上炎)

精神的なストレスやイライラが長期間続くことにより、体の中に「熱」が発生します。

この発生した「熱」が上半身に篭もると、鼻や喉に炎症を引き起こし、黄色っぽいネバネバとした鼻水が喉に落ちやすくなります。

このタイプの人の特徴として、口が苦く感じたり、口臭や胸苦しさ、イライラしやすい傾向にあります。

 

セルフケアのポイント

・深呼吸、睡眠、運動などでストレスを発散してため込まないようにする

・夜更かしやスマホの水着を避ける

・辛いもの、脂っこいもの、アルコールを避ける

 

体の潤いが不足しているタイプ(腎陰虚)

加齢や疲労状態が続くことで、体の「陰(うるおい)」が不足します。

陰が不足することによって、鼻やのどが乾燥し粘膜が潤わず、鼻水が喉の奥にべったりと残るような感覚があります。

このタイプの人の特徴として、のぼせやすかったり、寝汗、口の渇き、目の渇き、夜中に咳が出やすかったりといった傾向があります。

 

セルフケアのポイント

・夜更かしを避け、しっかりと睡眠をとる

・過労、多忙を避ける(特に夜の活動を控えめにする)

 

このように様々なタイプに分類されますが、共通して行えるセルフケア方法として

・鼻うがいをする

・加湿器を使用し、室内の湿度を50~60%に保つ

・日中は適度に動き、夜はしっかりと体を休めるメリハリのある生活

・甘いものや冷たい飲料、乳製品の摂りすぎは悪化の原因となるので控えめに

 

当院の治療

当院では、自律神経測定器をつかい、自律神経の乱れを測定し、お身体の状態をより詳しくみたうえで一人一人に合わせた施術を行います。

自律神経系のバランスを整えるために、ツボに鍼やお灸で刺激を加え、免疫力を向上させ、症状が治癒しやすい状態へと整えます。

また、東洋医学的観点から五臓六腑の働きを整えるツボや水分代謝を高めるツボ、冷えをやわらげるツボなども用いて施術を行います。

慢性的な後鼻漏がある方は、背骨のゆがみや首に異常がある場合が多く、背中や首の筋肉の緊張やそれらの部位の血流が悪くなることで、鼻の血流にも悪影響が出てしまい、症状を悪化させてしまうこともあります。

そのため、鼻周囲だけの施術ではなく、全身の緊張を取り除き、根本的な症状の改善を図っていきます。

 

お身体のことでお困りの際は当院へご相談ください。

お待ちしております。


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 12:23 / 院長コラム

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