耳管開放症でお悩みの方は鍼灸を

2025年1月18日

耳管開放症とは

 

耳管開放症とは、耳と鼻をつなぐ「耳管」という管が開いたままになってしまう病気です。通常、耳管は閉じていて、あくびや飲み込む動作をしたときだけ一時的に開きます。しかし、この病気になると耳管が開きっぱなしになるため、自分の声や呼吸音が耳の中で響いて聞こえる「自己聴覚」や、耳が詰まった感じがする「耳閉感」などの症状が現れます。特に痩せ型の方や、運動後、体重の急激な減少、妊娠中などに起こりやすいとされています。

軽い症状の場合は体を横にする、こまめに水を飲むなどで一時的に楽になることがあります。まずは、自己判断せず耳鼻科の受診をおすすめいたします。

 

原因

  • 体重減少
    急激なダイエットや病気による痩せすぎで、耳管周囲の脂肪や筋肉が減少する。
  • 脱水
    体内の水分不足により、耳管の粘膜が薄くなり閉じにくくなる。
  • ホルモンバランスの変化
    妊娠や更年期など、ホルモンの変化が耳管の機能に影響を与える。
  • 運動や体位変化
    激しい運動や姿勢の変化により耳管の開閉バランスが崩れる。
  • 全身の体調変化
    疲労やストレスが耳管の機能に影響を与える場合がある。
  • 先天的・構造的な要因
    生まれつき耳管の形状や筋肉が弱い場合に発症しやすい。
  • 病気や手術の影響
    中耳や鼻咽腔の疾患、またはその治療が耳管機能に影響を与えることがある。

特に痩せ型の人や体重が急激に変化した人に多く見られます。

 

東洋医学的な解釈

耳管開放症を東洋医学的観点から考えると、身体全体の「気(エネルギー)」、「血(血液や栄養)」、「水(体内の水分)」の不調が原因として捉えられます。

 

①気虚(ききょ)
「気」が不足すると耳管を閉じる筋力が弱まり、症状が出やすくなります。過労や慢性的な疲労、食事の不摂生が原因となることがあります。

 

②陰虚(いんきょ)
体内の「陰(潤い)」が不足し、耳管の粘膜が乾燥して弾力を失うことで、耳管が開きやすくなります。これには体重減少や脱水が影響します。

 

③痰湿(たんしつ)
「水分代謝」が悪化し、耳周辺の流れが滞ると、耳管の機能が乱れる可能性があります。食事の不摂生や冷えなどが要因です。

 

④肝気鬱結(かんきうっけつ)
ストレスや精神的緊張が原因で「肝」の働きが滞り、耳管を開閉する機能に影響することがあります。

 

鍼灸施術

①気虚型(体力不足や筋力低下が関与)

症状:疲労感、脱力感、耳管を閉じる力の低下。
治療法:気を補い、耳管の筋力を回復させる。
主なツボ:

  • 百会:全身の気を高める。
  • 足三里:気を補い、全身を強化。
  • 脾兪:脾を強化し、気を補う。

 

②陰虚型(粘膜の乾燥や体内の潤い不足)

症状:喉や耳の乾燥感、体重減少、脱水症状。
治療法:体を潤し、耳管粘膜を整える。
主なツボ:

  • 腎兪:腎を補い体の潤いを促す。
  • 太渓:腎陰を補強。
  • 三陰交:陰液を補う。

 

③肝気鬱結型(ストレスや精神的な緊張が関与)

症状:ストレス、緊張感、耳の閉塞感が悪化する。
治療法:気の巡りを良くし、精神を落ち着かせる。
主なツボ:

  • 太衝:肝気を巡らせる。
  • 内関:精神安定。
  • 行間:肝気の調整。

 

④痰湿型(水分代謝の不良による耳管機能の低下)

症状:耳の重だるさ、むくみ、鼻づまりが伴うことが多い。
治療法:痰湿を取り除き、水分代謝を改善。
主なツボ:

  • 陰陵泉:湿を取り除く。
  • 豊隆:痰湿を除去。
  • 中脘:胃腸機能を改善し痰湿を軽減。

 

①〜④+局所治療

耳周囲のツボを直接刺激して、耳管機能を高めます。

  • 耳門:耳周辺の血流を促進。
  • 聴宮:耳の機能改善。
  • 翳風:耳の巡りを調整。

Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 09:04 / 院長コラム

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