2016年7月1日
神経症とは、「心因性に生じる心身の機能障害で、器質的原因が無く、特有の症状を呈し、その発生、固定、消長に心因との相関関係が確認される」と医学的に定義されています。
上記の定義だけ読むと理解しづらいですが、神経症は不安をともなったストレスやショックに対する反応が影響して、心身にさまざまな症状を引き起こす病気です。人は誰しも不安や恐怖にかられることがありますが、神経症ではその状態が長く続き生活や仕事に支障をきたすレベルです。
人口の1割にみられる病気で性別では女性に多く、年代は10代から40代にみられる病気です。
神経症にはなりやすい性格と対人関係や社会性と言った外部環境から誘因されるものがあります。
性格では、
・神経質で几帳面
・執着心が強い
・心配性
・依存心が強い
・完璧主義
・柔軟性に乏しい
などです。
外部からの影響では
・親しい人物の死別
・対人関係
・重責を果たした後
・引っ越し
・強盗や火事など事件
などです。
一昔前では、不安神経症、強迫神経症などと呼ばれていましたが、今は細分化されて名前がたくさんの種類に分かれました。
アメリカ精神医学会による分類
不安障害
身体表現性障害
解離性障害
気分障害
WHO(世界保健機関)による分類
不安障害
強迫性障害
恐怖神経症
ヒステリー神経症
心気症
抑うつ神経症
離人症
不安神経症
人は誰しも不安を感じる場面や考え事がありますが、不安症では、外的な刺激がないにもかかわらず不安を長期間にわたって感じるか又は突然発作的に強い不安に襲われます。
前者は全般性不安障害と呼ばれ、後者はパニック障害と呼ばれます。
恐怖症
特定のあるものに対して異常な恐怖を感じて避けようとする症状が特徴です。大きく分けると広場恐怖症、社会恐怖症、特定恐怖症があります。
強迫神経症
自分の意に反してなにかばかばかしいことや不安な考えが浮かんできてしまい、止めようと思っても止められない状態です。これを強迫観念と言います。
その考えを無くそうと無意味な行為を繰り返してしまう状態を強迫行為と言います。
抑うつ神経症
優うつな気分や悲哀など軽度のうつ症状が長く続く病気です。症状だけでは、うつ病との鑑別は非常に難しいです。現在では、アメリカ精神医学会によって気分障害の中の気分変調性障害に分類されています。
心気症
自分が何かしらの病気にかかっているのでは、強く思い込む病気です。様々な身体症状を訴えますが、検査や診察で異常が認められず心理的要因から来ていると判断されるものを心気症と言います。
薬物療法・・・抗不安剤、抗うつ薬
行動療法
カウンセリング
東洋医学では、五臓六腑の心と肝が深く関係していると考えます。
心は思考や分析など主っている面と血脈を主る面があります。西洋医学でいうと心臓と脳の働きの両面に似ています。
肝の重要な機能として「肝は疏泄を主る」「肝は血を蔵する」があります。
また肝には情緒を安定させて精神状態を正常に保つ役割があります。
心と肝の関係
心も肝も血に関係します。思考や精神状態の安定にも心や肝は深い関係にあります。
考え事が多くなると頚部周囲が硬くなります。後頭下筋郡や胸鎖乳突筋が特に硬くなりやすいです。これらの筋肉の緊張を取ると、心の緊張も緩みやすくなります。
身体の不調は精神の耐性にも影響しますので、身体の調子を整えることを優先的に行います。
全身の血行循環を良くすることと、気分を落ち着かせる経穴を選択します。
治療方法でもお灸など心地良い刺激を多くして、治療中にあまりストレスを与えないよう慎重に治療します。
自律神経が整っている状態だと病気になりにくいです。かかったとしても治りが早いです。
人が本来持っている自然治癒力はこの自律神経が整っている状態で最大限発揮されます。
そのため病気を治すには、まず自律神経を整えることが必要になります。
この自律神経は様々なストレスによって乱れます。ですが、自分の意思とは関係なく働く神経のため自分では乱れているかは分かりません。
当院では自律神経のバランスを測れる機械があります。この測定器により交感神経と副交感神経のバランスを調べることができます。自律神経以外にも身体的ストレスや精神的ストレスを調べることができますので、多角的に症状を診れます。
測定器のデータを元にその方その方にあったオーダーメイドの治療を行います。
治療間隔
なるべく治療機会を多くすることが望ましいです。始めの方はなるべく詰めてきていただき症状改善とともに次第に広げていくのが理想です。3~5日に一度から2週間に一度、1ヶ月に一度のように状態によって広げていきます。
未病治
鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療法です。定期的に受けることで病気にかかりづらい体質を作っていけます。病気にかかる前に治す。これを東洋医学では「未病治」と言います。
神経症でお悩みの方は渋谷α鍼灸院へお越し下さい。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 01:22 / 院長コラム