2021年8月18日
膝の内側に起こる炎症の痛みです。関節横にあるため、膝に体重をかけて曲げ伸ばしする時に起こる痛みが特徴です。
基本的には、使い過ぎによる痛みで、日常生活やスポーツなどで膝の曲げ伸ばしが多いとなりやすいです。
スポーツでは膝に負担がかかるためマラソンやサッカー、野球、テニスなどでの競技で発症することがあります。そのため好発もスポーツをする年代の10から20代が中心に多くかかりやすいです。しかし膝のアライメントの問題などを持っていると日常生活の使い過ぎによっても発症します。
膝の外反内反変形などのアライメントの問題を持っていると鵞足炎になりやすい要因と言えます。それ以外では肥満で膝に大きく負担がかかる場合にも鵞足炎発症に関係してきます。肥満による体重も要因の一つです。
鵞足は、膝の内側に付くところを指します。筋肉が停止する場所の腱が鵞鳥の足に似ていることから名前を付けられています。この鵞足部分に炎症が起こると鵞足炎と呼びます。
この鵞足は縫工筋、薄筋、半腱様筋の三つの腱で構成されます。この三つの起始は、骨盤の前側、内側、後ろ側と全部場所が違いますが停止部が同じになります。筋肉が引き伸ばされて腱の部分に炎症が起きるので、骨盤と膝の関係性と膝と足関節の関係性によって鵞足炎の要因になります。膝が外反や内反(多くは外反)によって筋肉が伸ばされやすくなることで筋緊張が強くなって炎症を起こします。
膝が正常でも骨盤や足関節の歪みや関節の柔軟性がないことで膝が正常な可動域で動けないため、筋肉が緊張して炎症を引き起こします。
鵞足炎を診る際には骨盤と膝と足関節を合わせた下肢のアライメントを重点的に見る必要があります。
自分で膝を曲げてみて膝より足先が内側か外側に入りやすい状態でしたら何かしらの歪みがあって膝に負担がかかっていることになります。
上記のテストで膝の屈曲が少ないと前側に付く大腿四頭筋が硬くなっている場合も考えられます。この筋肉が硬すぎると膝というクッションが上手く働かないので膝にかかる負担も大きくなるということです。
基本的にはスポーツ選手の使い過ぎに多く、膝関節の繰り返し曲げ伸ばしが原因になります。
1膝の繰り返し運動
2膝関節の外内変形
3ガングリオンや外骨腫などの疾患
これらによって膝の内側にある鵞足に炎症が起きることや内側の内側側副靭帯とこすれることで発症します。
・原則は保存療法で競技の場合は運動を控えてもらうことになります。痛みが無くなるまでは運動をやめてもらうことが多いです。
・リハビリテーションでは、物理療法や可動域と筋力強化訓練など下肢のバランスを整える治療法
・病院によっては、靴の状態からインソールを作り足の着き方を変える治療法
鵞足を構成する縫工筋、薄筋、半腱様筋の三つを緩まる目的で刺鍼します。筋緊張が強すぎるなどの場合によっては鍼から電気通電療法を行います。電気通電療法によって痛みが出る場合は直ちにやめて置鍼のみの治療法にします。
鵞足の炎症部にはお灸を使って炎症を早く引かせられるように治療します。お灸は白血球を集めますので炎症部にはよくききます。
炎症部の状態によっては最大圧痛部の周辺にも鍼の単刺(滑液包には届かせず皮下まで)で軽く周囲を刺激して患部の血流を良くしていきます。
鵞足炎は骨盤と膝の関係性も重要になるため両方の関節面を整うように矯正します。
膝に起こる痛みは膝のみが原因ではなく反対側の下肢の歪みによっても痛みが引き起こされます。可動域が全方向に動く関節であると比較的対応できるのですが、膝のように基本曲げ伸ばしだけだと他の部位の影響でも悪くなります。
骨盤はその方の生活習慣で座りっぱなしや片方だけに体重をかけるクセを持っている人はよく歪んでいます。
骨盤の形をよく診た上で矯正して今後止めてもらう姿勢をお伝えします。
膝関節は関節面を整えることより周囲の筋肉を緩めることの方が早く治ることが多いので、周辺の筋肉バランスをみながら整えていきます。
鵞足炎の痛みが出ているうちは運動を控えていただくことが多いです。早く治癒にするためにも初めは詰めて来て頂き、3から5日に一度の頻度で来ていただいて早く状態を良くしていきたいと考えています。再発予防と筋力問題は本人のタイプ次第になりますので、治療を重ねて把握した後にお伝えします。
自然治癒力は自律神経のバランスが重要です。怪我をした際に早く治癒するのも自律神経のバランスが整っている方が早く治ります。
当院では、自律神経測定器によって交感神経と副交感神経のバランスを調べることができます。自律神経以外にも身体的ストレスや精神的ストレスなども測る事ができ、その方その方に合ったオーダーメイドの治療方針をたてられます。
鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療法です。
小一時間程ほど鍼とお灸を使って治療しますと終わったころには効果を実感していただけると思います。
定期的に自律神経療法を行うと体質変化していきやすいので、自律神経治療は一週間に一度のペースで来院していただくと徐々に変化していきやすいです。
鵞足炎でお悩みの方は渋谷α鍼灸院へご相談ください。
症例①
40代 男性
リモートワークによって運動不足になったため、3か月前から健康維持と体力向上のためランニングを始めたが先週から左膝に痛みが出始め走ることもままならい状態になったため整形外科を受診したところ鵞足炎と診断を受け湿布を処方され経過をみたが、なかなか改善がみられないため来院された。
安静時には痛みが起こらず、2キロほど走ると痛みが起こり走れなくなる。
翌日には痛みが軽減し、走ると再度痛みで走れなくなるということを繰り返している。
治療
鵞足炎の前は腰痛で悩まされていたが、最近は感じなくなっていた。
それ以外、膝などにも既往歴はなく、大きな怪我などはいままでしたことがなかった。
触診では左鵞足部に強い圧痛がみられ、腓腹筋、大腿四頭筋、臀部の筋にかなりの張りがあった。
まずこれらの緊張を取り除き膝への負担を軽減させる必要があるため、
各筋肉へ鍼施術を行い、鵞足部には鎮痛と消炎効果を狙い施灸した。
治療経過
◇1回目◇
走った後ではないので膝の痛みはわからないが、鵞足部の圧痛の軽減、足全体の軽さを感じた。
2日後に走る予定なのでそこで経過をみてもらうことになった。
◇2回目◇
前回の施術後走ってみたところ、4キロほど走れたがやはり痛みが出たので中断した。
痛む部位は初回と同じ。
各筋の緊張は軽減していたが、まだ残るので初回と同じように施術を行った。
◇3回目◇
今回は少し痛みが出たが、5キロほど走れた。
いつもの施術に加えて股関節の可動域の改善を行った。
◇4回目◇
ほぼ痛みなく5キロを走り切れた。
膝の調子が良いので今回は膝への施術の割合を少なくし、全身の疲労をとる施術も行った。
今後は再発防止と健康管理のために月に1~2回メンテナンスを行っていきたいとのこと。
身体の調子もいいのでランニングの距離も段々と伸ばしていきたいという目標もできた。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 18:10 / 院長コラム