2017年2月28日
お尻から太もも裏やふくらはぎにかけて痛みが出る症状です。
坐骨神経痛は、症状の名前で、病名ではありません。そのため腰椎ヘルニアや脊柱管狭窄症など腰に病気が隠れている場合もありますし、病気によって出てくる症状でもあります。ぎっくり腰からでも起こります。
坐骨神経痛に関係する病気と症候群
・脊柱管狭窄症
・脊椎すべり症
・脊椎分離症
・脊椎、骨盤の腫瘍
ヘルニアと脊柱管狭窄症が代表的な病気です。
臨床では更年期辺りの女性によくみられます。更年期でホルモンバランスが崩れると骨盤周りに痛みを引き起こしやすいのと、女性の骨盤は男性よりも外に広がっているので股関節を痛めやすいためだと思います。
来院される女性の声から、立っているのも辛く立ち座りの動作がしんどいと日常生活がままらない程で病院では手術を勧められるのが恐いとよく聞きます。
日常生活動作が障害されると生活の質がグンと落ちます。精神的にもストレスで落ち込むと早急に治したい症状です。
出始めや痛みを感じた場合は直ぐに治療を始めた方がいいです。
鍼灸では筋肉や神経に対してアプローチする方法と東洋医学の考え方でアプローチする方法があります。
ここでは東洋医学の考え方を書いてみます。
坐骨神経痛は脚の痛みや痺れが特徴です。
この痛みや痺れを東洋医学で診ていく場合、2つの側面から診ていく必要があります。
1つは痛みの出ている経絡、もう1つは症状の原因です。
腰や殿部、下肢には6つの経絡が通っています。経絡は気や血といったエネルギーや栄養がスムーズに流れる事で正常に機能します。気血が何らかの原因で滞りを起こすと詰まってしまい痛みが生じます。
そしてそれが経筋と呼ばれる流れ(西洋医学で言う筋膜のつながり)にも影響すると、筋肉がスムーズに動かず(滑走せず)、硬くなって痛みを引き起こします。
坐骨神経痛では、後ほど説明する原因により、腰や殿部、脚の経脈・経筋が滞りを起こし痛みが生じている状態です。
大まかな経絡の分布は、以下の通りです。
坐骨神経痛の好発する脚の後面や殿部、腰部には、膀胱経が通っています。
こちらも好発する脚の外側や殿部には、胆経が通っています。
脚の前面や股関節前面、腰上部には、胃経が通っています。
脚の内側には、脾経、腎経、肝経が通っています。
腰や脚にはこれだけの経絡が通っているため、まずは痛みの部位や圧痛のある部位から、どの経絡に異常があるかを判別します。
次にこれらの経絡に関連した足首周りや膝周り、股関節周り、背中や腹部などのツボ反応を見ていきます。
異常のある経絡のツボは過敏になっていて、強い圧痛が見られます。
この様に経絡の側面からは、痛みの出ている部位と周囲の反応の出ている経絡から異常経絡・ツボを見つけ、流れを回復する事で痛みを改善していきます。
以上のように、腰や脚に分布する経絡が詰まる事で痛みが生じますが、その詰まりが起こる原因は以下の通りです。
①過去の怪我や痛み、固定の経験など
これまであまり重要視されて来ませんでしたが、過去の怪我(骨折や捻挫など)やギプスなどの固定経験、オペの術痕、過去の痛みが根本的な原因となる事が多く見られます。
これらは腰や殿部以外の部分、例えば足関節周りの捻挫や骨折、外反母趾、膝の成長痛、膝の半月板や靭帯の損傷、大腿骨の骨折や変形性関節症などがきっかけになります。
こういった経験は、局所的に経絡の詰まりを引き起こし痛みを引き起こしますが、それを解消しようと体が反応します。
それは経絡に沿った別の部分で代償する事でこの痛みを解消します。すると一旦は治ったかのように痛みが無くなります。
しかしこの代償も限界があり、最終的には代償が出来なくなって、別の部分に痛みが出てきます。
過去の痛みや痺れなども同様に、その症状を解消しようと別の部分で代償し、一見治ったかのような状態になります。
この代償が効かなくなっている状態で②にあるようなきっかけが重なると痛みが出て来ます。
坐骨神経痛の場合は、それが大腿や下腿、足周りに出てしまった状態です。
ですので「今出ている」痛み(詰まり)を治療するだけではなかなか坐骨神経痛の痛みは解消していきません。
あるいは一見治ったかのようになっても、負荷がかかると再発してしまいます。
ですので、過去の詰まりのポイントまで遡って治療しいく事が根本的な治療につながります。
②その他
特に①の状態が根本的にある時に、例えば局所(腰や殿部、下肢)を冷やしてしまったり、ストレスを受けたり、使い過ぎてしまうと一気に経絡が滞りを起こし、痛みを引き起こします。
痛みの直接の原因(きっかけ)になるのはこれが当てはまる事が多いようです。
また仕事上や生活上で良く使う場合、その負担が積み重なって詰まりを起こし痛みを引き起こします。
基本的には①の状態がある時に②のきっかけが重なることで、坐骨神経痛のようなに痛みが出てしまう事が多く見られます。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 11:30 / 院長コラム