2019年4月11日
先日、NHKの「東洋医学ホントのチカラ」という番組内で過活動膀胱(頻尿)に鍼灸治療が効果的であると実験を行っていました。
番組内の実験では100%の人に何らかの改善がみられるという結果が得られました。
過活動膀胱には自律神経の働きが関わっており、当院でも自律神経の施術に力を入れて行っております。
また自律神経の調節に加え、腰から下肢にかけての筋緊張や冷えなども過活動膀胱を助長する原因となります。
NHKの実験のように即時効果が出る場合とそうでない場合もみられます。どちらのケースにしても早期の治療開始が早期回復への近道となります。
過活動膀胱でみられる症状で一番多いものが「尿が我慢できない」というものです。これは何らかの原因で膀胱が過敏に反応してしまい尿を溜める働きに障害が起こることで尿が我慢できなくなってしまう状態です。
老若男女問わず発症する可能性があります。
①神経が原因で起こる神経因性過活動膀胱
脳梗塞や脳卒中などの脳の血管の障害、パーキンソン病なとの脳の神経の障害、脊髄に起こる病にの影響、脳から膀胱へ繋がる神経経路の障害など神経そのものに異常が起こることで過活動膀胱が起こります。
②神経には問題が無い非神経因性過活動膀胱
前立腺肥大や出産や加齢により膀胱の筋肉や骨盤底筋に異常が起こる事で発症します。
③その他の原因
過活動膀胱でもはっきりとした原因がわからないものがあります。神経が過敏に反応してしまったり、検査をしても原因が特定できない、いくつかの要因が合わさってしまって複雑化してしまっているなどが考えられています。実際はこの原因のわからない過活動膀胱が最も多く存在していると言われています。
過活動膀胱の主な症状は3つあります。
①尿意切迫感
急な尿意が起こり漏れてしまいそうなほど我慢ができなくなってしまいます。
②頻尿・夜間頻尿
一般的なトイレの回数は日中に5回~7回、就寝中は0回が正常範囲内とされています。それよりも多くの回数トイレに行くようであれば頻尿と診断される可能性があります。
③切迫性失禁(尿漏れ)
尿意切迫感に加えトイレまで我慢できずに尿が漏れてしまう状態が起こります。
問診を元に過活動膀胱のチェックシートとの結果と尿検査や血液検査などのデータを基準に診断が行われます。
まずは症状を緩和・軽減するために薬物療法が第一選択となるのが一般的です。
主に膀胱の収縮を抑える抗コリン薬が処方されることが多いようです。
日常生活において利尿作用のあるカフェインやアルコールの制限や水分の摂り方、骨盤底筋の強化、トイレの間隔を空ける訓練などの指導が行われることもあります。
東洋医学において過活動膀胱を含めた泌尿器のトラブルは腎と膀胱が関与していると考えます。蓄尿を司る膀胱と排尿を司る腎の機能が異常を起こし過活動膀胱となります。
特に泌尿器の働きは腎がメインとなって行っているため、基本的には腎の機能を回復させる必要があります。
また全身の調整を行っている肝や体液の代謝を行う肺の働きも関係します。
腎に気が低下することを腎虚といいます。加齢つれて腎の気は徐々に低下していきます。高齢者では腎の気が低下した状態が続くために頻尿が多くなります。
また冬の季節や冷えも腎虚を起こす原因となります。
腎虚では体の疲れ、足腰の弱さ、骨の異常、生殖器の異常が起こりやすくなります。
当院では膀胱の働きと関係の深い自律神経に注目をして治療を進めていきます。
自律神経の調節には全身を診る必要があり、筋肉の緊張・姿勢の状態に加え、先ほど説明した肝や腎を含めた東洋医学的な所見も考慮し治療方針を立てます。
実際の治療では足腰に問題があることが多く、お腹や腰、太ももやふくらはぎのツボを良く使います。
また過活動膀胱ではストレスや過労によって悪化するケースもあり、そういったケースでは全身の治療を行い早期回復を目指します。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 20:19 / 院長コラム