帯状疱疹の痛みには鍼灸を

2022年2月20日

帯状疱疹とは

帯状疱疹とは「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因で発症する病気です。水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染は水ぼうそうとして発症します。ほとんどの人が子供の頃に感染する病気です。水ぼうそうが治っても、背中の神経節という部分にウイルスが潜伏しており、免疫力の低下やストレス、加齢や過労によって、ウイルスが活性化し、帯状疱疹が発症します。ウイルスは神経を傷つけて炎症を起こすため、初期症状として皮膚にピリピリ、チクチクとした痛みが現れます。その後、赤い発疹が水ぶくれとなって帯状にできます。眠れないほどの強い痛みが伴う方もいます。多くの人は、左右どちらかの上半身に現れ、主に顔や首に症状がでます。治療が遅れると難聴や顔面麻痺、失明など合併症など重症化する恐れがあるため、早めの受診をおすすめします。

 

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帯状疱疹の原因

日本人の約9割は水痘・帯状疱疹ウイルスを保有しています。加齢による発症率が非常に高いとされ、50代から急激に発症率が増え、80歳までに3人に1人がなるとも言われています。しかし、年齢が若い人も油断してはいけません。近年では20代発症率も増加傾向にあり、帯状疱疹だと気づかずに重症化するケースがあります。帯状疱疹が進行が進むと、頭痛や発熱などの症状が伴う場合があります。

また、帯状疱疹は再発の可能性があり、高齢者や免疫力が著しく低下している方は注意が必要です。

帯状疱疹には、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる後遺症があります。皮膚の症状が完治した後も、痛みや痺れを感じる後遺症です。帯状疱疹のウイルスによって神経が傷つき、痛みを抑制することに障害が生じてしまうことが原因とされています。そのため、痛覚過敏やアロディニア(些細や刺激でも過剰に痛みを感じること)が起こるのです。36ヶ月程度で改善すると言われていますが、早期発見と早期治療が非常に大切になってきます。

 

西洋医学の治療法

抗ウイルス薬

活性化している水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える薬です。重症化している場合は、入院をし、点滴にて抗ウイルス薬を投与する必要があります。

痛み止め

帯状疱疹による痛みを緩和する鎮静剤です。直接ウイルスに効果はないので、抗ウイルス薬との併用になります。痛みの程度に合わせて、様々な種類があり、症状に合った容量で使用します。

塗り薬

塗り薬は皮膚の炎症に効果があります。痛み止めの効果のある軟膏や、抗菌薬を塗り薬として使用する場合があります。

 

 

帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛による痛みが酷く、投薬のみでは症状が抑えられない方は、「神経ブロック注射」や「レーザー治療」が行われることがあります。神経の痛みを緩和させ、血行を良くし、症状の改善をする作用があります。

 

東洋医学的観点

東洋医学的観点では、「気血」の滞りが帯状疱疹を引き起こす原因とされています。気血とは人間が生きていく上で必要なエネルギーの根源とさせており、人の生気と血液を指します。気血が滞ると、筋肉が硬くなりコリに繋がり、その状態が続くと、筋肉やその周辺の関節が劣化し、神経の圧迫によって痺れとなり病気に繋がります。気血の滞りを改善し、全身の血流をよくすることで、ウイルスで傷ついた神経を修復することができると考えられています。

 

鍼灸での施術法

帯状疱疹の施術は主にお灸を用いて、症状の改善や緩和をしていきます。お灸とは、体にあるツボを温めることにより、病気の症状や体の不調を改善する東洋医学の治療法です。血行促進の効果があり、免疫力が向上します。また帯状疱疹の後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN)の神経痛には鍼灸は非常に有効的です。発症後の初期段階で施術することにより、早期改善が見込めます。

ぜひ、帯状疱疹にお悩みの方、帯状疱疹後神経痛予防のためにも、早めに鍼灸をお試し頂くことをおすすめします。

 

 

予防と対策

帯状疱疹はワクチンを接種することによって予防ができます。ワクチン接種の対象年齢は50歳以上となり、ワクチンにて免疫を強化することができます。

しかし、持病によりワクチンを接種するとことができない人や、50歳に満たない人は、日常の生活を見直し、規則正しい生活をすることが大切です。特に免疫力を強化するには、バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動です。日頃から自分の身体を大切に、些細な変化を見逃さないようにしましょう。

 

 

症例①

50代 男性

1か月前に帯状疱疹を発症し、2週間ほどで発疹は引いたが神経痛が残った状態が続いている。ピーク時に比べれば痛みは少なくなったが疲労や寝不足で痛みがぶり返してしまう。日頃から肩こりや背中の張りを強く感じていて発症前後で出張などが疲労も溜っていた。

職場が近くにあり、知人に鍼をすすめられ来院された。

治療方針

測定器の結果、身体的ストレスが非常に高い結果となった。触診では全身の緊張がみられたが特に頭と肩甲骨の間が凝り固まっており姿勢の悪さもあった。これらを改善し帯状疱疹後神経痛の疼痛緩和を行う。

◆1回目

まずストレス対処能力を高めるため自律神経調整を行う。次に頭、首肩、背中の緊張を緩め正しい姿勢が作れるようにし、最後に姿勢の矯正を行った。

鍼灸は初めてだったが整体などに通い慣れているため鍼の刺激もしっかりと受けることができた。

◆2回〜4回目

5日後に来院。数日は痛みを感じることがなかったが、昨日から少し痛みを感じる。前回と同じように施術を行った。

◆5回目

7日後に来院。前回後ほとんど痛みを感じない。仕事が忙しく全身の疲労と特に肩こりがあるのでそちらをやってほしい。

全身調整と肩こりを集中的に施術をし、帯状疱疹後神経痛に対する治療を終えた。今後は体調管理として月に1〜2回メンテナンスを行っていく。


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Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 13:55 / 院長コラム

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