蓄膿症(慢性副鼻腔炎)の鍼灸治療

2016年5月28日

鍼灸治療と蓄膿症(慢性副鼻腔炎)

 

蓄膿症は、WHO(世界保健機関)が鍼灸の適応疾患として認めています。鍼灸が蓄膿症に対して効果的な治療法だとしてます。

蓄膿症は、慢性の副鼻腔炎のことを言います。症状の初めは、風邪が長引いているだけと思わされる様なものです。副鼻腔の炎症が三カ月以上続くと慢性副鼻腔炎となります。

顔には副鼻腔という空洞がいくつか存在します。顔面の鼻を中心とした奥に前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞と4個あり合計8個の空洞を副鼻腔と言います。その空洞に膿が溜まって長引いた状態を蓄膿症と言います。鼻腔と鼻は繋がっていますでの、風邪やアレルギー性鼻炎、ウイルスなどで炎症を起こすと副鼻腔炎になるわけです。副鼻腔炎になると副鼻腔内の分泌物などが上手く排泄できなくなるために慢性化しやすく、三カ月続くと慢性副鼻腔炎になります。

主な症状は鼻づまりやどろっとした黄色い鼻水、悪臭のある鼻汁などです。その他にも頭痛や集中力の低下、歯茎の痛み、嗅覚障害なども引き起こします。鼻からの呼吸ができなくなると睡眠にも影響をきたし、喉の症状ができることや睡眠不足の影響でイライラや頭重もしてくることがあります。

慢性化するだけ原因となるのが長引くためですので、自然治癒が難しい疾患です。初期の急性副鼻腔炎だと自然治癒することもありますが、慢性化したものは、適切な治療法を受けることをお勧めします。

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蓄膿症の原因

蓄膿症の原因には、アレルギー性鼻炎、咽頭炎、扁桃炎などから始まるものと菌による感染で肺炎球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などがあります。

 

副鼻腔炎の病院での治療

検査法

・細菌検査

・内視鏡検査

・CTやMRI

・嗅覚機能検査

・鼻腔通気度検査

 

治療法

・抗生物質などの薬物療法

・ネブライザー療法

・排膿洗浄

・プレッツ置換法

・穿刺洗浄

・手術

手術は、保存療法で効果が得られないことや長期間繰り返す場合に選択されることがあります。

 

蓄膿症の東洋医学

東洋医学で鼻水や鼻づまりなどは、水毒の症状になります。水毒は、身体に余分に水が溜まっていることが原因で上手く排泄できないことと水が偏在するためです。この水の問題を解決することが症状緩和に繋がります。

それと鼻には肺との関係が深いので、肺の機能を高める必要があります。肺の作用として、宣散と粛降を主ります。これは、体内の気や津液を全身に行き届くようにちりばめる作用です。肺には呼吸や発汗の働きで体液のバランスを維持させる作用もあります。

蓄膿症の治療にはこの二つを重点的に診て治療していきます。

 

鍼灸治療

鼻周りの血流循環と免疫を高めることを重点的に行い、熱がこもらないよう呼吸器系周りを整えていく治療方針になります。

鼻の周りにある経穴に刺鍼して鼻を囲うように鍼から電気通電療法を行います。これにより鼻の血液循環が良くなります。

選択経穴は、迎香、上迎香、攅竹、四白を使います。鍼の反応がいい方は、終わった頃に花がす~っと通る感じがして効果が持続します。

電気通電療法後は鼻の周りの免疫機能を高めるために、点灸を行っていきます。煙が刺激的であれば煙がでないお灸を使用しますのでご安心ください。

上記の患部治療に合わせて血液やリンパの流れを良くするために頸部から肩にかけての筋肉も緩めていきます。特に喉周りの胸鎖乳突筋や斜角筋を集中的に行い、関係する肩部や鎖骨周りの胸部もしっかりと治療します。

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自律神経療法

蓄膿症は、菌の感染やアレルゲン反応など免疫系が関係します。この免疫系は、自律神経を整えることで高めていくことができます。人の身体は、無意識に自律神経が臓器や血管をコントロールしています。生活習慣の乱れやストレスなどでこの自律神経が乱れると病気を発症しやすくなります。そのためこの自律神経を整えることが人の自然治癒力を最大限に高められて症状治癒に繋がります。患部だけの治療では、根本的な治癒や再発防止にならないことが多く、自律神経を整えていくことが症状改善の早道になります。全身にある自律神経の反応点を鍼灸治療で整えていく治療法が自律神経療法になります。

当院では、自律神経のバランスを測定できる器械があります。バランス以外にも肉体的ストレスや精神的ストレスなども測定できるのでより多角的に症状を捉えることができます。このデータを元にその方その方に合わせたオーダーメイドの治療を行いますので、1時間の治療が終わるころには効果を実感していただけると思います。

治療間隔はなるべく治療機会を増やせていただくことをお勧めします。早期治癒を目指して入らさせて頂きますので初めの方は詰めて来て頂くと回復や反応が良いので4~5日に一度のペースが理想的になります。症状が改善し始めましたら、良い癖が身体に付きますので、そこから徐々に間隔を空けていき2週間に一度、1か月に一度と変えていきます。

蓄膿症でお悩みの方は渋谷α鍼灸院へお越しください。

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症例

四十代女性

会社勤め

幼い頃から慢性鼻炎を患っており、酷くなると慢性副鼻腔炎になっていくのを繰り返していました。

希に嗅覚が落ちて嗅覚障害にも繋がるため病院以外の治療にと当院に来院されました。

身体を診たところ、呼吸器に関係する筋肉が硬くなっており、空気の通り道が狭くなっている状態でした。

鼻や喉に症状を持つ人に多いのですが、空気の換気が十分でないと発症する事があります。

東洋医学で鼻に関係する経絡と呼吸が十分に行えるように治療方針をたてました。

一回目

自律神経を整えて呼吸筋の緊張を取り、鼻周りに電気通電療法を行いました。胸郭が広がるストレッチを指導して初回を終えました。

二回目~五回目

治療方針は同じで続けて治療する事で、肩や首周りが楽になったと言って頂きました。

身体を診ても肩や首の可動域が増えてきたので鼻に集中して治療を行なうように変えていきました。

五回目~十回目

鼻汁も減ってきて鼻周りの痛みも減ってきたと症状が軽快してきたようです。

 

症例2

四十代女性 専業主婦

もともと慢性鼻炎を持っていたため、よく鼻が詰まる感じがあったが今回は奥からダラーっとした色の付いた鼻水が落ちてきたため耳鼻科に受診したところ慢性副鼻腔炎と診断された。

常に詰まっている感じと後鼻漏が酷いため不快感で肩や首も痛くなってきたそうです。

元々当院に来院されていたため副鼻腔炎の治療を開始しました。

鼻周りの経穴を電気通電療法を行った所、2回目の間に病院に行ったところお医者さんから長くかかると言われていたのに、もう無いわと驚かれたそうです。自覚症状も鼻の違和感もなく快適だそうで無くなったといわれました。

2回目も予防をかねて治療を行ないました。3回目までに一度ダラーっと落ちてきたものの、それ以降は快適と言われて、もう症状はでていないです。

 


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 11:27 / 院長コラム

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