2025年1月15日
日々のストレスや生活習慣の乱れから、不眠症に悩む方が増えています。夜になってもなかなか眠れない、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚めてしまう…このような状態が続くと、心身の疲労が蓄積し、日常生活に影響を及ぼします。不眠は単なる「睡眠不足」ではなく、身体全体のバランスが崩れているサインです。
眠りにつくまでに時間がかかるタイプです。布団に入っても頭が冴えてしまい、なかなか眠れないことが特徴です。
(主な原因)
•ストレスや不安、心配事
•就寝直前までの過度なスマホやPCの使用
•カフェインの摂取や生活リズムの乱れ
夜中に何度も目が覚めるタイプです。一度目覚めると再び眠りにつくのが難しく、睡眠の質が低下します。
(主な原因)
•ストレスや加齢
•トイレが近い(頻尿)
•慢性的な痛みや体の不快感
予定より早い時間に目が覚め、その後眠れなくなるタイプです。十分な睡眠時間が確保できず、日中の疲労感や集中力の低下につながります。
(主な原因)
•抑うつ状態
•睡眠環境の問題(明るすぎる部屋など)
眠っている時間は十分でも、睡眠が浅く、休んだ気がしないタイプです。起床後も疲れが取れない、倦怠感が続くのが特徴です。
(主な原因)
•睡眠時無呼吸症候群
•過剰なストレスや自律神経の乱れ
不眠症と自律神経は深い関係があります。自律神経は、交感神経(活動時に優位)と副交感神経(リラックス時に優位)からなり、私たちの睡眠をコントロールしています。しかし、ストレスや生活習慣の乱れによって交感神経が過剰に働くと、身体が興奮状態になり、眠りに入りにくくなる、または眠りが浅くなることがあります。特に、不安や緊張を感じる夜は、心拍数や血圧が上昇し、リラックスするために必要な副交感神経が十分に働きません。
鍼灸治療では、自律神経のバランスを整えることを目的としたアプローチが行われます。「百会」や「神門」などのツボを刺激することで、副交感神経を優位にし、リラックスした状態を促します。また、深い呼吸や心身の緊張緩和を通じて、心地よい眠りへ導くことが可能です。睡眠の質を向上させるためには、自律神経の乱れを改善することが重要です。
東洋医学の視点では、不眠症の原因は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の流れが乱れることによって体内に不調が生じると考えます。
気・血・水のバランスの重要性
•気(エネルギー):身体を動かし、心を整えるエネルギーです。不安や緊張が続くと、氣が停滞し、不眠につながります。
•血(栄養):血液や身体を潤す要素を指します。栄養不足や血行不良があると、心身の安定が失われやすくなります。
•水(体液):体内の水分バランスを保つ役割を果たします。むくみや乾燥がある場合、この水の巡りが乱れている可能性があります。
不眠症の多くは、これらの要素がうまく巡らず、「心(しん)」という東洋医学の概念が乱れることが原因とされています。「心」は感情や精神状態を司る場所であり、ここに過剰な熱がたまると、心が興奮し、眠れなくなると考えます。
鍼灸治療は、身体全体のバランスを整え、自然な眠りを取り戻すサポートをします。不眠症に特化した鍼灸のアプローチには、以下のようなポイントがあります。
1. 自律神経を整える
不眠症の多くは、自律神経の乱れによるものです。自律神経は交感神経(活動時に優位になる神経)と副交感神経(リラックス時に優位になる神経)から成り立っています。不眠症の方は、交感神経が過剰に働き、身体が「戦闘モード」のままになっていることが多いです。
鍼灸治療では、身体の緊張をほぐし、副交感神経を優位にすることで、心と身体をリラックスさせます。特に「百会(ひゃくえ)」や「神門(しんもん)」といったツボは、心を落ち着かせる効果が期待できます。
2. 血流を改善し、心身を温める
東洋医学では、「血行不良」は不眠の一因と考えます。冷え性や肩こりがある方は、血の巡りが悪く、眠りが浅くなることが多いです。鍼やお灸を使って血流を改善し、身体を温めることで、深い眠りへと導きます。
お灸で使用される「関元(かんげん)」や「三陰交(さんいんこう)」は、全身の血流を良くする効果があり、冷え性改善にも役立ちます。
3. 心の安定を促す
ストレスや不安による不眠には、精神安定作用のあるツボを刺激します。「足三里(あしさんり)」や「内関(ないかん)」などは、不安感を和らげ、心の落ち着きを取り戻す助けとなります。これにより、リラックスして自然に眠りにつくことができます。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 20:20 / 院長コラム