顔面神経麻痺

2016年6月6日

顔面神経麻痺について

・朝起きたら顔が歪んでうまく動かない。

 

・口をゆすごうと水を含んだら口から水がこぼれてしまう。

 

・味が感じなくなってしまった…

 

そんな症状が急に現れたら顔面神経麻痺の可能性があります。

 

 

顔面神経麻痺とはその名の通り顔に繋がる神経が麻痺してしまい動かなくなってしまう病気です。

 

男女差は無く、3040代に多いと言われています。

 

 e2613a33751bf78d561d51e98e662013_s 

顔面神経の働き

 

12個ある脳神経のうち第7脳神経になります。

 

顔面神経の働きは表情筋につながり表情をつくる、舌につながり味覚を感じる、唾液腺・涙腺につながり唾液や涙の分泌です。

 

余談ですが顔面神経は痛みを感じる神経ではないため、顔に痛みが出た時に俗にいう「顔面神経痛」というのは間違いで、以前コラムで書いた「三叉神経痛」というのが正しい呼び方です。

 

 

 

顔面神経麻痺の原因

 

脳の異状(脳梗塞や脳内出血など)、寒冷曝露(冷え)、ウイルス感染、神経の通り道に浮腫ができるなどが原因だと考えられています。

そして顔面神経麻痺は中枢性と抹消性に分けられます。

 

中枢性の顔面神経麻痺は文字通り脳に異状がある場合に起こります。

 

抹消性の顔面神経麻痺は脳以外の原因で起こるものを言います。

 

この2つを大まかに見分ける方法はオデコにシワを寄せられるかどうかで見分けます。

 

オデコにシワが寄せられる場合は脳に異状がある場合が多い様です。

 

さらに脳に異常がある場合は顔の麻痺の程度は軽いのですが手足の麻痺など、顔以外にも異症状が出ることがあるので緊急性が高いです。

 

 

 

抹消性の顔面神経麻痺の約80%を占めるのがベル麻痺と呼ばれる原因不明のものです。

 

ベル麻痺の主な症状は、オデコのしわ寄せ困難、閉眼困難(兎眼)となり涙がこぼれる、

 

鼻唇溝が浅くなり口を膨らませられなくなる、口角が下垂し水がこぼれ口笛が吹けなくなる、

 

場合によっては味覚障害や聴覚障害も起こります。

 

 

 

また抹消性顔面麻痺にはベル麻痺以外にもラムゼイハント症候群というものもあります。

 

これはヘルペスウイルスによるものです。

 

ヘルペスウイルスというのは水疱瘡(みずぼうそう)ウィルスのことで、

 

子供の頃に水疱瘡に罹った方でもウイルス自体は完全に無くならず神経節という部分に隠れて潜んでいます。

 

それが体力の低下や免疫力の低下などが原因で帯状疱疹を引き起こしたりする実に厄介なウィルスです。

 

そのウイルスが顔面神経に出てしまうとラムゼイハント症候群になります。

 

主な症状はベル麻痺の症状に加え、耳周辺の痛みや疱疹や発赤です。

 

抹消性顔面麻痺になってしまうほとんどの方がこの2つに当てはまると言われています。

 

 

 

病院での検査

 

中枢性と抹消性を分けるための脳のMRI画像の撮影

 

その時ベル麻痺の方は顔面神経管という部分に異変が見つかることが多いようです。

 

ラムゼイハント症候群などと見分けるためにウイルス抗体検査

 

 

 

顔面麻痺に対する一般的な治療

 

中枢性の場合…薬物等による脳の症状の改善

 

抹消性の場合…ベル麻痺 発症直後は顔面筋の安静のために外出をさけ、数日後症状が落ち着いてきたら局所のマッサージ、低周波治療。

 

3日以内に抗炎症作用のある副腎皮質ステロイドを開始

 

 

 

東洋医学的からみる顔面神経麻痺

 

東洋医学では顔面神経麻痺のことを口や目が歪んで閉じることができなくなることから

 

「口眼歪斜」と言います。

 

主に鍼灸治療では抹消性の顔面神経麻痺、特にベル麻痺に対しての治療が効果的となります。

 

東洋医学的にベル麻痺を捉えると、顔面の経絡が弱っている時に風寒の邪が侵入し、

 

経気に障害が生じ経筋の栄養状態が悪くなり、弛緩して麻痺が起こります。

 

さらに随伴症状の違いにより3つのパターンに分けられます。

 

①少陽タイプ:耳周囲に痛みや聴覚に異状があるもの。胆経や三焦に経に関係するもの。

 

②陽明タイプ:味覚の異状があるもの。胃や経や大腸経に関係するもの。

 

③肝血虚タイプ:長期化して患側の筋に拘縮や攣縮があるもの。

 

 

 

東洋医学的な治療

 

風邪の除去をはかり、主に顔面部周辺の経気の循環を良くし、経筋の栄養状態の改善を目指します。

 

また関連する経絡に取穴し、その作用の増強を狙います。

 

関連するのは大腸経胃経三焦経胆経の経絡です。

 

それらの経絡の虚実の基づいて補瀉を決定し鍼灸治療を行います。

 

 

 YY2_4850

当院での治療

 

顔面神経麻痺の治療はとにかく早期治療が重要です。

 

できたら3日以内、最低でも5日以内には治療を開始することをおすすめします。

 

放置してしまうと治療が長引く上に、予後が思わしくないことが多いです。

 

当院では麻痺が強く出ている部分や、顔面神経の通り道となる部位に鍼灸治療を行い血行の改善をはかります。

 

麻痺が起こっている部分には電極を繋いで電流を流し神経に刺激を与えて回復を早める方法があります。

 

そして鍼灸治療の場合はピンポイントで患部を狙えるので繊細な顔面部への施術も最小限の負担で行えます。

 

また顔面部を含む頭部は副交感神経と深い係わりがあるので自律神経の調節も同時に行っていきます。

 

全身を含めた自律神経の調節を行うことで全身がリラックスし、顔の緊張もほぐれやすくなるので顔面神経麻痺にも効果があります。

IMG_6205

 


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 20:29 / 院長コラム

お問い合わせ

▲ページTOPへ