2021年9月15日
妊婦さんに多い腰の痛み。産婦人科では妊婦さんによる腰痛の訴えは全体の50%もみられるほど多い症状です。これは、もともと女性は解剖学的と内分泌的に腰痛を発症しやすいことも関係します。女性は子供産むために骨盤が男性に比べて扁平で幅広くなっているため骨盤から股関節までの距離も長く靱帯や筋肉に負担がかかりやすいです。この骨盤は男性比べて直立歩行には向いていなく分娩に適した形態です。靱帯や筋肉に負担がかかり続けることは、慢性疲労の原因になります。妊婦になるとさらにお腹の重さや姿勢がくずれるためより腰に負担がかかるようになって腰痛を引き起こします。
内分泌的要因は、女性ホルモンは靱帯を緩める効果があるので月経に関係して痛みが強くなることがあります。妊娠や分娩時は、骨盤周りの関節や筋肉、靱帯に影響を及ぼすため腰痛の原因になります。
妊婦さんの腰痛に対して鍼治療は優れていると研究報告もあります。注意する事もありますが、適切に行うことで効果が高い治療法だと思います。
妊婦さんには、基本強い刺激は注意して治療を行わなければなりません。なるべく安定期に入ってからの治療開始が望ましいです。
刺激が強いと子宮収縮を引き起こすなどの怖さがあるため鍼灸には妊婦さんに禁忌とされている経穴もあります。
パルスなども胎児による影響がわからないため禁忌とします。
これらを守って施術をすることで妊婦さんにも治療が行えます。
胎児が大きくなるにつれて身体は反り返るようになっていきます。腰部を支える筋肉の全てが腰痛の原因になりえますので、痛み方も人それぞれになります。
最も多いのが腸腰筋になります。上位腰椎から子宮近くを通り股関節内側につきます。この筋肉は妊婦さんの姿勢で硬くなりやすいです。身体の奥にある筋肉ですので、この筋肉が硬くなって他の筋肉に負担がかかって発症することが多いです。
臨床経験として多いのが、骨盤の真横や臀部から後ろの太ももにかけての痛みをよく訴えられます。
筋肉が張る程度の症状から歩くのも辛く寝られなくなる程の重い症状まで幅広くあります。
姿勢からの影響は、中期から後期にかけてみられますが、妊娠前期にも腰痛を訴える方も多いです。妊娠前期の原因は心理的要因や自律神経の不安定、骨盤周囲の感受性の亢進などが影響しやすいです。
痛みをだしやすい筋肉
腸腰筋
中臀筋
大臀筋
梨状筋
腰方形筋
脊柱起立筋
が多いです。
産婦人科疾患の腰痛
子宮の位置異常・・・子宮下垂、子宮脱
・子宮腫瘍・・・子宮筋腫、子宮癌
・子宮支持組織異常・・・卵巣腫瘍、付属器炎
・妊娠関連・・・子宮収縮
・自律神経失調
産婦人科では上記の病気や症状が関係して腰痛が引き起こされると考えられています。
上記の病気や症状も妊婦後の腰痛に関係しやすい因子です。
薬物療法で胎児に影響を及ぼす可能性が否定できないため必要性がなければ行われません。種類と使用量を把握することで安全の元に行われることもあります。
どうしても痛みが強すぎる、生活に支障がでるなど訴えられた時に主治医と相談することになります。
薬物療法を避けるために鍼灸やマッサージなどの治療法を勧められることもあります。
腎虚や寒湿、瘀血などが腰痛の原因として考えられます。
腎虚による症状は、身体を動かして疲れると強くなることや、慢性的に痛みを感じる、膝やくるぶしなど下半身に痛みを感じるなどがあります。
風寒や寒湿による症状は、動きだしの痛み、背部のこわばり、痛む場所が明確、温めると軽減するなどです。
下肢の状態を改善させることも腰部に効果的ですので、むくみや硬結部位を探して治療を行います。冷えや下肢の不調も合わせて治療対象にします。
腰部には残置性の記憶による痛みがあります。これは元々腰を痛めやすい人が、ストレスや疲労を感じると腰の痛みが頭から引き起こされるものです。痛みを感じると負のスパイラルによりさらに痛みを強くして局所を悪くしていきます。このサイクルを止めるには患部の治療と自律神経からのアプローチが必要になります。
鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療法の一つです。小一時間程の痛くない鍼と心地よいお灸を使った治療を受けると終わった頃に身体が緩んだと実感して頂けると思います。
当院には、自律神経を測定できる器械があります。この測定で交感神経と副交感神経のバランスを調べることができ身体や精神ストレスも合わせてはかれます。
このデータを元に整えるように治療を行うと効果が高くなります。体質改善も含めて定期的に検査と治療を行うことが症状改善と予防に最適です。
妊婦さんの腰部の痛み方はそれぞれですので、直接診た上で最も良い治療方法を行いたいと思います。
駅近にありますのでアクセスも良く通いやすい場所にあります。
妊婦さんで腰痛に悩まれている方は、一度渋谷α鍼灸院へお越し下さい。
症例① 20代女性
妊娠前は腰痛は感じていなかったが、24週を過ぎた頃から腰痛と足のむくみを感じ始めた。
妊娠前から肩こり等で鍼灸を受けており、効果を感じていたので来院された。
妊娠中の腰痛においては出産するまで完治は難しいので、生活に支障が出ないように腰の状態を維持していく必要があります。
◇1回目◇
3日ほど前から歩くのもままならないほど腰が痛み、なかなか改善しない状態だった。
腰が痛くなる前は足のむくみを強く感じていた。
お腹が大きいので横向きと仰向けのみで施術を行った。
梨状筋、中殿筋、腰方形筋に圧痛があったためそちらの治療を先に行った。
1回の施術で歩けるようになるまで回復したが腰の芯に痛みが少し残った。
◇2回目◇
前回から5日後に来院。
歩くときの痛みは完全に消えたが、座った状態から立ち上がろうとすると腰の奥の方に若干の痛みを感じる。
今回は自律神経を整える治療も加え、全身の緊張にもアプローチを行った。
腰は腰方形筋の一部と大腿筋膜張筋の圧痛がみられたのでそちらに鍼とマッサージを行った。
2回目の施術で腰の痛みは完全に消失した。
今回のケースでは鍼に慣れていたこともあり、スムーズに治療が進みました。
今後は体調管理として定期的に治療を行っていければと思います。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 11:45 / 院長コラム