月経前症候群(PMS)の鍼灸治療

2021年2月10日

 

月経前症候群(PMS)

 

月経前症候群(PMS)とは、生理前に起こる精神面や身体面の不調のことです。月経がくると症状が治ってきて次第になくなります。

日本産婦人科学会の用語解説集では「月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消失するもの」と定義されてます。

月経に起こる痛みや不調と似てますが、月経前に起こるのが生理痛との違いになります。

月経前症候群の症状は、イライラや不安などの精神症状や頭痛、乳房圧痛などの身体症状が特徴です。症状の自覚があっても認知されている女性は半分以下で、月経前に起こる強い体調不良だと思われています。

 

月経前症候群(PMS)の原因

原因はまだ分かってません。女性ホルモンのプロゲステロンが排卵前後に大きく変動するため原因ではと考えられていましたが、プロゲステロンの投与の効果が乏しい事や、排卵前後でも同じ症状が引き起こされることから女性ホルモンだけでは考えづらいそうです。

他には神経伝達物質のセロトニン説などもあります。セロトニンが増強する治療で効果的なことから月経前症候群に大きく関わっていると考えられてます。

ストレスは月経前症候群の症状を悪化させることが分かっています。情緒などの精神的症状もでるためストレスがかかると月経前症候群を悪化させます。

ビタミンやミネラル不足でも起こると考えられています。

 

月経前症候群(PMS)の症状

身体的症状

乳房が張るなどの乳房圧痛

身体的症状

下腹部痛、下腹部の膨満感

頭痛

腰痛

筋肉痛

全身の疲労感や倦怠感

関節の痛み

むくみ

易疲労

 

精神的症状

イライラと怒りっぽい

抑うつ

興味の減退

不眠

情緒不安定

混乱

憂鬱

判断力低下

孤独感

 

行動的症状

攻撃的

甘い物が食べたくなる

眠気が強い

集中力低下

 

月経前症候群(PMS)の診断基準

月経前症候群の診断基準

情緒的

・抑うつ

・怒りの爆発

・苛立ち

・不安

・混乱

・社会からの引きこもり

身体的

・乳房圧痛

・腹部膨満感

・頭痛

・四肢のむくみ

・肌荒れ、ニキビ

1過去三回の月経周期に、月経前の5日間に上記の症状が一つ以上存在する

2上記の症状は月経開始後4日以内に軽減又は消失

3上記症状が他のホルモン内服、薬物あるいはアルコール使用によるものではない

4症状は次の2周期の前方視的な記録によって再現している

5社会的あるいは経済的能力のはっきりした障害が認められる

 

病院での治療

病院では低用量ピルや点滴療法、栄養療法などが行われるそうです。

認知することも大切なので婦人科など専門医に一度かかられるのがいいです。

 

月経前症候群(PMS)が悪化する原因

ストレス

環境や人間関係によるストレスで月経前症候群が悪化すると知られています。常に緊張しやすい人などは症状も重くなりやすいので日頃からストレス解消法を探して実施するのが良いです。

たばこやアルコール

飲酒で体内のブドウ糖が消費されて低血糖になります。低血糖になりやすい状態にさらにお血糖下げる事は控えた方がいいです。

たばこは血流を悪くします。

 

症状を緩和させる方法として、ストレッチなどで身体のリラックスをしましょう

身体のリラックスは精神のリラックスに繋がりますので、全身ストレッチをこまめに行うのが良いです。ヨガなども身体と精神ともにリラックスできるのでお勧めです。

血糖値が下がることで、イライラや食欲増進になります。血糖値を急に上げる食物やお菓子は控えた方がいいです。(チョコレートやケーキ)

 

 

月経前症候群(PMS)の東洋医学の考え方

PMSでは身体的、精神的症状が多く現れます。

西洋医学ではまだ原因がはっきりとは明らかになっていませんがホルモンバランスや自律神経機能の失調が関与している事は確かです。

鍼灸治療では自律神経機能やホルモンバランスを整える作用があるため、PMSの症状が改善していきやすい治療法です。

 

しかし単にホルモンバランスや自律神経機能失調といっても、個人個人で現れる症状や身体の状態、これまでの生活や環境は異なります。

 

ですので鍼灸治療においても治療するツボは個人で異なってきます。

 

身体の状態を把握するための一つの視点として、東洋医学的な面でPMSを見ていきます。

 

東洋医学で考えると主に、「気血水」といったエネルギーや栄養の滞りや不足、「肝・腎・脾」といった臓器の不調などによりPMSの症状が現れてきます。

 

【気血水の問題】

①気血の滞り

気や血が滞る事なく、関連する経絡を巡り子宮へスムーズに流れる事で、正常な月経が起こります。

しかし何らかの原因でこの気血がスムーズに巡らないと、特に下腹部が張ったような痛みや、チクチクあるいはズキズキとした鋭い痛みを生じます。

 

その他に月経が遅れ気味だったり、胸や脇が張ったり、月経時に血の塊が見られたりなどの症状が現れます。

 

原因としては、主に肝の機能低下によります。

このタイプでは、肝の機能を回復したり、気血をスムーズに流すための治療を行います

 

②内湿

気血がスムーズに流れる事で正常な月経が起こる事はお伝えした通りですが、その原因には肝の機能低下の他に、内湿(水の滞り)があります。

 

内湿とは主に脾の機能低下により、余分な水分が出来てしまい、それが経絡に詰まってしまっている状態です。

特に子宮に関連する経絡に詰まる事で、気血が滞り月経痛などの症状が起こります。

 

その他の症状として、おりものが多い、浮腫、お腹や脚の重だるさ、軟便なども現れます。

 

このタイプの場合、脾の機能回復や滞っている余分な水分を巡らせるような治療を行います。鍼よりもお灸が効果的な場合が多く見られます。

 

③冷え

気血を滞らせる原因は実はもう一つあります。

それは冷えです。冷えがあると気血がスムーズに巡らないために、月経痛などの症状が現れます。

 

冷えの原因は、冷たいものや生ものを多く食べる、雨などで体を冷やす、身体の陽気(内臓や経絡を温めるエネルギー)が不足している事などが挙げられます。

 

冷たい物や生ものの過食は特に脾を冷やし、陽気の不足は腎の機能低下が根本にある場合があります。

 

このタイプの場合、下腹部の冷えと痛み、手足の冷え、下痢や便秘などの症状を伴う事が多く見られます。

 

その方の状態により、冷えを取ったり陽気を補う治療を行ったり、根本にある脾や腎の機能回復のための治療を行ったりします。

 

 

【臓器の不調】

①肝の不調

肝は気血をスムーズに巡らせる作用があります。この肝に不調があると、気血が滞り月経痛などの症状が現れます。

 

特に肝はストレスの影響をかなり受けます。強力で持続的にストレスを受けると、肝の機能低下が起こります。

 

この場合、下腹部の張った痛みなど「気血の滞り」の症状の他に、

肩や首のコリや張り、情緒不安定、怒りっぽい、イライラしやすい、ため息、ゲップ、お腹の膨満感、胸焼け、めまい、耳鳴り、頭痛、喉の異物感などの症状が現れる事があります。

 

この場合、気血を巡らせる治療と一緒に肝の機能回復のための治療が必要になります。

 

②脾の不調

脾に不調があると、水分をうまく代謝する事が出来ず、余分な水分が溜まります。これが既にお話した「内湿」です。

 

また冷たい物や生ものを過食すると、冷えが生じて気血の巡りが悪くなるだけでなく、冷えにより脾を傷めてしまい脾の不調を招きます。

 

偏った食事や栄養不足も脾の機能低下を招きます。

 

脾の不調があるとPMSの症状の他に、浮腫、倦怠感、話すのが億劫、食欲不振、軟便、息切れなどの症状が出てきます。

 

この場合、脾の機能回復のための治療と共に、状態によって冷えを取る治療を行ったり、水分を巡らせる治療を行う必要があります。

 

③腎の不調

栄養が偏っていたり、加齢、手術や服薬、炎症が起きていると腎のパワーは落ちていきます。

 

こういった原因により腎が弱ると、直接的に生殖器の問題が現れます。これは腎は生殖器の機能と密接に関係しているためです。

また腎の機能低下が起こると、体に冷えが出てきます。

そのため気血が滞ったり、ホルモンバランスや自律神経機能が崩れ、月経痛などのPMSの症状が現れます。

 

腎の不調があると

精力減退、耳鳴り、難聴、足腰の重だるさ、頻尿、免疫力低下、不眠、無気力などの症状を伴います。

 

 

PMSと東洋医学】

PMSと言ってもこのように様々な原因があり、それぞれ現れる症状も治療法も異なります。

 

ですので、これまでの経緯やその方の環境、ライフスタイルなどを詳しく聞いた上で、各種検査を行い、お体の状態を把握します。

 

そして気血水の滞りを改善したり、脾肝腎の機能回復を行っていく事で、PMSの症状とその他に現れている症状が改善していきます。

お灸治療

 

月経前症候群(PMS)の鍼灸治療

女性ホルモンを整えるのに下半身の状態を良くすることが必要です。冷えやむくみなども治療していかなければなりません。下肢に女性に関わる経穴が多く、状態を整える事で骨盤内に良い血流を送れると考えています。

骨盤内血流量を上げる事と下肢の状態を良くすることが月経前症候群の治療に必要です。

 

 

自律神経療法

ストレスが月経前症候群を悪化させる可能性から当院では、自律神経のバランスを重視しています。交感神経と副交感神経のバランスが整っている状態であれば症状が出現しにくく、症状が治りやすいです。

鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療法です。当院にある自律神経を測る機械でバランスを調べた情報を元にその方に合った治療方法をたてます。そのため通常に行う治療よりも効果がでやすくデータを元に体調を管理しやすいです。

ストレスや悪い生活習慣によって自律神経中枢が乱れ全身に影響します。ストレス治療にも鍼灸治療は優れています。

心地良い鍼とお灸で一時間程治療を行うと終わった頃には身体が温かくなった、症状が軽減したなどと効果を実感して頂けると思います。

月経前症候群でお悩みの方は、渋谷α鍼灸院へお越し下さい。

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Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 11:05 / 院長コラム

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