2017年1月22日
中高齢者に多い疾患の変形性膝関節症は鍼灸院でも多くの方が来院されます。膝の痛みを軽視するのは危険で、世代によっては要介護や寝たきりと寿命が短くなる因子となります。
これから高齢化社会をむかえる我が国では高齢者がかかえる問題を解決する事が重要になると考えています。
ロコモティブシンドロームという言葉があります。人は加齢により身体機能が下がって様々な疾患にかかりやすくなります。高齢者になると運動器疾患が要介護や寝たきりといった危険性に繋がります。運動器疾患だけでなく派生する問題や予後までを考えた治療方針が必要です。
生活習慣病は働き世代の中年以降が気をつける国民病ですが、高齢者ではロコモティブシンドロームが大きな問題になります。
変形性膝関節症は外出が減る、段差で躓きやすい、歩かなくなるなど介護の必要性や寝たきりに繋がります。人の身体は歩行や生活での動作など動かすために作られているので、身体が動かないと身体機能の低下で老衰が早まります。
軽視しがちな運動器疾患でも世代によっては大きな問題です。中高齢者では様々な問題を招きますので早期発見と中高齢者にあった治療で健康な生活を守りましょう。
今回は変形性膝関節症のために両膝の痛みと筋力低下があった方の改善症例をご報告します。
症例
70代 女性
十数年前から膝が痛くなり、整形外科受診。変形性膝関節症の診断を受けましたが、手術は適応とならず、リハビリを含めた保存療法で経過観察をしていたとの事です。
しかし膝の痛みは一向に良くならず、歩く機会も減ったために、下肢の筋力低下も出てきたそうです。
それに従って徐々に膝が屈曲してきて、それに伴い体幹も屈曲してきてしまったとの事です。
当初は歩行時にのみ膝の前面に痛みが出ていましたが、徐々に痛む動作が増えてきて、今では立ち上がり時やベッドに横になるために脚を持ち上げる時などにも痛むようになってしまったそうです。
さらに膝の前面だけだった痛みも、次第に裏側も痛むようになってきたとの事です。
そしてこの膝の痛みと筋力低下、屈曲した姿勢により歩行や立位が不安定で、いつ転倒してもおかしくない状況でした。
このような状態であったので、まずは膝周りのツボを入念にチェックします。
しかし特別硬くなっているところや圧痛は見つかりませんでした。
こういった場合、痛みの原因が局所(今回のケースでは膝周り)には無い事がほとんどです。
他の部位に原因があるはずだと考え、その他に抱えている痛みや不調はないか尋ねました。
すると実は左腰の後ろ側にも痛みがあるとの事です。
また左右両方のスネから足の指にかけてよくこむら返りが出るそうです。
これらの症状と膝の痛みの部位から、下半身の前と後の経絡が詰まり、バランスが崩れているために膝に痛みが出ていて、そしてその原因は骨盤周りや足周りのツボにある可能性がある、そう考えました。
そこで今度は足からスネ、骨盤周りのツボを入念にチェックしました。
するとやはりありました。
前側のツボとして、太衝(たいしょう)、上巨虚(じょうこきょ)
後ろ側のツボとして、承筋(しょうきん)、白環兪(はっかんゆ)
といったツボに異常な過敏性を伴った圧痛と硬さがありました!
そこでこれらを1つ1つしっかりと緩めました。
その直後に歩行してもらうと
「あらー全然痛くない!不思議ねー!」
のお言葉を頂きました。
膝は屈曲したままですが、痛みは無くなりました!
そして歩行時以外にも、立ち上がり時やベッドに横になる時にも痛みは全く出ませんでした。
そして一週間後、経過を聞いてみると、それから全く痛みは出ていないそうです。
何より膝だけでなく腰の痛みや足のこむら返りも出ていないとの事です。
また脚に力が入るようになり、歩行時の不安定さが無くなったために、安心して歩けるようになったそうです。
現在もメンテナンスと内科的な不調の治療を兼ねて、継続して治療を行なっていますが、痛みは出ていません。
今回のケースのように変形性膝関節症のために膝が変形していたり軟骨がすり減っていても、それが痛みの原因にはならない事はよくよく見られる事です。
それよりも膝の変形により負担が増える事で、周りの経絡の流れが滞るために痛みが起こってしまいます。
そして詰まりが起こる部位は膝周りとは限りません。
今回のように足周りや骨盤周りに詰まりが起こる事もありますし、また前後ではなく内側と外側を流れる経絡に詰まりが起こる事もあります。
ですのでよくお話を聞き、動きを見ながら、詰まっている経絡とツボを探っていく事が重要になってきます。
また痛みにより歩く機会が減ったために、脚の筋力低下を訴える方も多いです。
しかし実際には今回のように経絡の流れを改善する事で、脚の力が戻る事があります。
これは全てが筋力低下でなくて、詰まりによって現在持っている力をうまく発揮出来なかったために、力が入らないような状態になっていたからです。
ですので一見筋力低下だと見えても、経絡の詰まりを改善すれば、力が戻ってくる事はよくあります(もちろん筋力低下も部分的にはあります)。
このように変形性膝関節症と診断された膝の痛みや、それに伴う筋力低下様の症状でも改善するケースは多く見られます。
・当院は渋谷駅から徒歩1分と交通の便が良いです。
・他の接骨院とは違いマンツーマンで一時間しっかりと治療します。
・カーテンではない個室となっていますので他の視線が気になりません。
・完全予約制ですので待ち時間はかかりません。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 11:20 / 院長コラム