お知らせ & コラム NEWS / COLUMN
逆流性食道炎
逆流性食道炎について
逆流性食道炎は最近、広告やテレビCMなどでもよく耳にするようになってきました。
鍼灸治療をしていると逆流性食道炎を患っている方を診る機会が多くあります。
逆流性食道炎というのは、病名そのままの意味で、胃酸が何かの原因で食道側へ逆流してしまう病気です。
逆流性食道炎の症状
胸焼けや吐き気が起こり、胃の辺りがムカムカして気持ち悪くなったりします。
これは胃酸が食道に逆流し食道に炎症を起こすためにみられる症状です。
逆流性食道炎の中で胸焼けはとても多くみられる症状です。
・呑酸(どんさん)
ゲップような感覚で酸っぱい胃酸の味が口の中に感じます。
胃の中から上がってきた胃酸が口の中まで上がってくることで起こる症状です。
・のどの違和感・声が嗄れる
逆流した胃酸がのどを刺激し、その影響で炎症が起こってしまう為に起こります。
炎症が強くなると食事が飲み込みにくくなったり、声がでにくくなったりします。
・胸の痛み
心臓が痛いような感覚が出ます。
・咳
食道を通る神経が胃酸で刺激されることで起こります。
また胃酸が声帯を刺激することでも起こるかとがあります。
・無症状
逆流性食道炎になっている方でも症状が出ない場合もあるようです。
健康診断や人間ドックで初めて気付く方が多いです。
逆流性食道炎を放っておくと・・・
初期の逆流性食道炎の症状は、比較的軽く日常生活でもそれほど支障をきたすことは少ないですが、重症化してしまうとがんにまでも進行してしまう危険性のある怖い疾患の一つです。初期の逆流性食道炎の軽い症状でも決して放っておかず早めの対処が重要です。
・バレット食道
バレット食道は、ロンドン大学のノーマン・バレット医師が病気を発見したことからこの名がつけられました。逆流性食道炎の約半数がこのバレット食道になっているとも言われています。バレット食道は胃液に含まれる胃酸が逆流して食道の粘膜を慢性的に傷つけることによって生じます。胃酸が食道の粘膜を傷つけて回復するという過程を繰り返すことによって食道の粘膜が胃の粘膜に変性してしまいます。すると食道粘膜の細胞に異変が生じて食道がんにかかる危険性が高くなってしまうのです。
・食道が狭くなる
食道が傷つけられて炎症や潰瘍が生じてそれを回復させることを繰り返すことで食道表面の粘膜は硬く皮膚は弾力性がなくなってしまいます。すると食道内は狭くなってしまって食べ物をうまく運ぶことが困難となってしまい、食べ物を飲み込みにくくなってしまいます・。
・精神的負担
食事をとることは人間にとってとても重要で美味しい食事をとることは精神的な落ち着きを与える生活の基本の一つです。逆流性食道炎となってしまいその食事が毎回苦痛なものとなってしまうと精神的なストレスは多大なものとなります。身体はストレスが溜まり様々な悪影響を及ぼします。すると、睡眠障害やうつ病、自律神経失調症の原因にもなりかねません。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎もさまざまな原因で起こります。
主に下記の様なものがあります。
・食道が過敏に反応していまう「食道知覚過敏」
・老化などで胃の内容物が逆流しないように食道を抑える筋肉が弱ってしまう「下部食道括約筋低下」
・体調の悪化やストレスで一時的に食道の括約筋が低下してしまう「一過性下部食道括約筋低下」
・アルコールや食生活、ストレスなどによって胃酸が異常に分泌されてしまう「胃酸分泌の増加」
・肥満や窮屈な服装などによって腹圧の増加や胃の中の圧力が増加してしまう「胃内圧の上昇」
診断・検査
癌など他の疾患と鑑別します。そのため胃カメラを推奨している病院が多いようです。また問診時のアンケート記入による調査でも7割程度は診断が可能なケースもあるそうです。
逆流性食道炎の西洋医学的治療
ほとんどの場合が薬物療法になります。下記の様な薬の処方が多いようです。
胃酸の分泌を抑える「プロとポンプ阻害薬」や「H2ブロッカー」
食道の粘膜を保護する「胃粘膜保護薬」
胃酸を中和する「制酸薬」
下部食道括約筋の働きを強くする「消化管運動機能改善剤」
逆流性食道炎に対する東洋医学的な考え方
東洋医学では主に胃(脾)と肝の機能低下が逆流性食道炎に影響していると考えます。
胃は消化機能、肝は目や筋肉の使い過ぎ・怒りやストレスとの関連性が強く関わっています。
まず胃の機能が低下すると、消化吸収が鈍り食事から得られる気が不足してしまいます。
胃の気は口から肛門へ向かって流れているため胃の働きが弱ることによってその流れが滞り逆流してしまうことでゲップや呑酸、胸焼けさらには嘔吐などの症状が現れます。
暴飲暴食は胃に負担をかけますが、胃の働きに異常が起こるとでも食欲が増して暴飲暴食に繋がります。
胃が健康であれば食事がおいしくとれて、食べ過ぎるということは無くなります。
脾は胃と兄弟関係にある臓器です。胃の働きをサポート消化吸収を助けます。
脾が弱ると口が乾いて苦くなったり粘ついたりします。
唇や口内が荒れたり手足に力が入りにくい様な症状も起こします。
そして肝の機能低下はストレスへの抵抗力を低下させます。また目の使い過ぎが肝を弱くさせるので、ストレス過多の環境でのデスクワークは肝への負担が多くなります。
肝は判断力や計画性などの精神面とも関りが深く、肝気が低下するとイライラや落ち着きの無さが現れることもあります。
イライラしてつい食べ過ぎてしまうという状態は胃だけではなく肝も弱っている証拠です。
逆流性食道炎の鍼灸治療
鍼灸治療では病名ではなく、症状や身体の状態から治療方針を決めていきます。
そのため問診や触診といった情報がとても重要になります。
来院時に日常生活やストレス度合い、睡眠状況、食生活など問診で詳しくお伺いします。
脈診や触診で胃(脾)や肝の状態を診て治療方針をたててきます。
また内蔵の働きは特に自律神経との関りが強いので、当院では自律神経測定器を使って自律神経のバランスも診ながら治療をします。
逆流性食道炎の多くの原因は、ストレスによる胃酸の出すぎか加齢による食道括約筋の低下にあります。
鍼灸治療で身体をリラックスさせ自律神経を整えることで胃だけではなく内蔵全般、さには肉体的にも健康な状態になっていきます。
逆流性食道炎の方は姿勢が悪く背中の緊張が強く出ている方も多いのでそういったところも並行して治療を行うとより効果的です。
当院の治療は測定器を利用した自律神経的な所見、脈診や反応点・ツボを利用した東洋医学的な所見、姿勢や筋肉の状態などの解剖学的な所見、そして問診時の内容を含めてトータル的に治療を行いより早期の回復を目指します。
逆流性食道炎の鍼灸治療のエビデンス
逆流性食道炎に対する鍼灸治療の効果については、近年の研究で一定の症状改善が報告されています。
- 症状改善効果
主な効果
胸焼け・呑酸の軽減:複数の臨床試験で、鍼灸治療(特に鍼)が胸焼けや胃酸逆流の頻度・強度を低下させたと報告されています。
胃もたれや腹部膨満感の緩和:消化管運動を調整する作用が関与している可能性があります。
再発率の低下:中国の研究では、PPI(プロトンポンプ阻害薬)と鍼を併用した場合、PPI単独よりも再発率が低かったとするデータがあります。
研究データの例
- 2023年のランダム化比較試験(RCT)では、8週間の鍼治療を受けた患者は、偽鍼(シャム鍼)や標準治療群に比べ、症状スコアが約40%改善したとされています。
- メタ分析(2021年)では、鍼灸をPPIと併用した場合、PPI単独より症状改善率が1.5倍高かったと報告されています。
- なぜ効果がだせるのか
自律神経調節:迷走神経を刺激し、胃酸分泌の抑制や食道下部括約筋(LES)の緊張を高める可能性があります。
抗炎症作用:鍼が食道粘膜の炎症反応を軽減するという動物実験データがあります。
内臓感覚の調整:過敏になった内臓感覚(痛みや不快感)を鎮静化する効果があります。
心理的ストレスの軽減:ストレスがGERDを悪化させるため、鍼のリラクゼーション効果が間接的に症状を緩和する可能性。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 14:57 / 院長コラム
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