2017年2月20日
肋骨に沿った痛みが特徴で、原因は正確には分かっていません。大体が片側に起こります。
怪我やヘルニア、ヘルペスなどで起こった場合は原因となっている疾患が回復すると肋間神経痛も治ることが多いです。
肋間神経は背骨から出ている神経で肋骨間を支配しています。この肋間神経が障害されると肋間神経支配領域に痛みが出るわけです。
明らかな原因が無い場合でも筋肉や姿勢などからくる圧迫でも起こることが分かってきています。
ストレスを抱えると筋肉は硬くなります。ストレスによって交感神経優位になると血管も硬くなるため自然治癒が難しくなります。
肋間神経痛は痛みがなくなっても再度出てくることもあるので完治することは少ないと言われています。
日頃からストレスを抱えやすい方や、睡眠不足、運動不足など蓄積していくと肋間神経痛になりやすいです。
一般臨床検査で原因が見つからない原発性肋間神経痛は、まず生活習慣から見直していく必要があります。
趣味や運動
ストレスの発散には趣味や運動が良いです。小一時間を週三回ほど取り入れると上手く発散できると思います。
睡眠不足
身体の修復ホルモンが睡眠中にでるため、良質な睡眠を望むのであれば熟睡できる時間を確保した方がいいです。
就寝三時間前にご飯を済ませておくと睡眠中の修復が働きやすくなります。
ストレッチ
睡眠前に硬くなった身体をストレッチでほぐすのも効果的です。首、肩、背中、腰、臀部、下肢と全体をしっかり行なうと身体の柔軟性と気持ちもリラックスできるので睡眠の質も上がります。
原発性と続発性に分かれます。
原発性肋間神経痛は、他の疾患が見当たらない原因不明の肋間神経痛です。ストレスや自律神経の乱れが有力だと考えられています。
明らかな原因がある場合を続発性肋間神経痛と呼び、ヘルペス(帯状疱疹)、骨折、ヘルニア、など他の疾患があります。
肋間神経痛は胸や背中の鋭い痛みが特徴です。
東洋医学で診ていく場合、2つの側面から診ていく必要があります。
1つは痛みの出ている経絡(経脈と経筋)、もう1つは症状の原因です。
胸や背中にはいくつかの経脈が通っています。経脈は気や血といったエネルギーや栄養がスムーズに流れる事で正常に機能します。気血が何らかの原因で滞りを起こすと詰まってしまい痛みが生じます。
また経絡には経脈の他に経筋という筋肉のつながりもあります。
この経筋にも詰まりがあると筋肉がスムーズに動かず(滑走せず)、硬くなって痛みを引き起こします。
肋間神経痛では、後ほど説明するいくつかの原因により、胸や背中の経脈・経筋が滞りを起こし痛みが生じている状態です。
大まかな経絡の分布は、
前胸部には、任脈、腎経、胃経の経脈と足陽明経筋の経筋が通っています。
側胸部には、脾経、胆経の経脈と足少陽経筋が通っています。
背中には、膀胱経、督脈の経脈と足太陽経筋、足少陰経筋、一部の足陽明経筋の経筋が通っています。
また胸の中にかけては、手太陰経筋、手少陰経筋、手厥陰経筋の経筋が通っています。
胸部だけでもこれだけの経脈・経筋が通っているため、まずは痛みの部位や圧痛のある部位から、どの経脈・経筋に異常があるかを判別します。
次にこれらの経脈・経筋に関連した手足のツボ反応を見ていきます。異常のある経絡のツボは過敏になっていて、強い圧痛が見られます。
この様に経絡の側面からは、痛みの出ている部位と周囲の反応の出ている経絡から異常経絡・ツボを見つけ、流れを回復する事で痛みを改善していきます。
以上のように、胸や背中に分布する経絡が詰まる事で痛みが生じますが、その詰まりが起こる原因は大きく5つあります。
①風熱の邪+痰湿(たんしつ)
胃腸の機能が落ちていると水分の代謝がうまく行われず、「痰湿」と呼ばれる病理物質(余分な水分が体内に長期間溜まっている状態)が蓄積してしまいます。
この状態の時に、自然界の異常気象によって生じた風邪と熱邪(風熱の邪)が体に入り込み、痰湿とくっついてしまう事で経絡を詰まらせてしまいます(風熱痰)。
特に肋間神経痛が起こる前に帯状疱疹があった場合、この風熱痰が原因で肋間神経痛が出ている可能性が高いです。
発作性・灼熱性・切られるような激しい痛み、局所の紅潮や発汗を伴う、温めると痛みが増し冷やすと軽減する、発熱を伴う事がある、と言った症状が特徴です。
②風寒の邪+痰湿
①と同様に体内に痰湿が蓄積している状態の時に、風邪と寒邪(風寒の邪)が痰湿と結びついて経絡を詰まらせてしまっている状態です。
発作性の引きつるような激しい痛み、局所の蒼白、冷やすと痛みが増し温めると軽減する、発熱や寒気を伴う事がある、と言った症状が特徴です。
③肝鬱化火(かんうつかか)
長期間ストレスを受けていると肝の機能障害が起こります。そうすると気血をスムーズに巡らせるという肝の機能が失調し、気血の滞りが起こります。
そしてこれが長期化すると、停滞した気が熱を帯び(肝火)、経絡を犯してしまい痛みが生じます。
灼熱性の痛み、ストレスや情緒の変動で痛みが出現する、温めると悪化する、口の苦さ、目の充血、胸の張りなどの症状が特徴です。
またこの熱(火)が体内の痰湿と結びついて症状を出していることもあります。
特に肋間神経痛の前に帯状疱疹があった場合に多く見られます。
症状が長期化する傾向にあります。
④胃火上炎(いかじょうえん)
普段から辛いものや脂っこいものを過食すると胃に熱がこもり、この熱が経絡に沿って上昇し胸部に痛みを引き起こします。
また③で出て来た、肝の失調による肝火が胃に波及して、胃に熱がこもってしまう事でも肋間神経痛を引き起こします。
灼熱性の痛み、暴飲暴食やストレスにより痛みが出現する、歯茎や顔面部などにも痛みが出やすい、温めると悪化する、口臭などの症状が特徴です。
⑤気虚血瘀(ききょけつお)
症状が慢性化する事で気血を消耗し、血を巡らせるエネルギーが不足した状態です。血が滞ることで経絡が詰まってしまいます。
慢性的な刺すような鋭い痛み、痛みが治まるまで時間がかかる、筋肉の痙攣、息切れ、顔色が黒っぽい、夜間の痛みなどの症状が特徴です。
ストレスを受けると交感神経優位になります。血流が悪く筋肉が硬くなりやすい状態です。
筋肉や身体の柔軟性低下に繋がる事が肋間神経痛を引き起こしていると考えます。
交感神経と副交感神経はバランスが重要です。どちらかが上がってしまった状態では、アンバランスとなり上手く循環しません。
肋間神経痛を治療するには自律神経のバランスを調べる必要があります。
当院では自律神経測定器によって交感神経と副交感神経のバランスを調べる事ができるので、今のお身体の状態を客観的なデータで見れます。
このデータを元に自律神経を整えますので、効果的な治療を行えます。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 20:53 / 院長コラム