歯の痛み

2017年2月27日

歯痛

歯の痛みの中にも鍼灸によって解消する場合があります。

歯痛は読んだそのままの意味で「歯の痛み」です。ズキズキする、シクシクする、痛みの感じ方はそれぞれですが、関連痛やストレスが原因で起こるものもあります。

鍼灸で治療する事ができるのは、非定型歯痛と言い、虫歯や歯の損傷がないにも関わらず、歯の痛みを引き起こす疾患です。

歯医者さんに行っても原因が分からないものと言えば分かりやすいと思います。虫歯や歯周病など病気の場合には改善しないのですが、鍼麻酔という痛みを和らげる治療はできます。

 

歯痛の種類

一般的に歯の痛みを引き起こすものは、歯に原因がある場合と歯の神経が損傷してしまった場合です。

虫歯・・・・ミュータス菌が歯を溶かします。甘い物が好物で糖質から酸を作り出して歯を溶かします。

歯周病・・・歯の周りの骨が溶けてしまい、歯に痛みを感じます。

三叉神経痛・・・・歯の感覚をつかさどっているのが三叉神経です。三叉神経痛によっても歯に痛みを感じます。

歯根膜痛・・・・歯を支える歯根膜に炎症が起きると歯が痛みます。

咀嚼筋の痛み・・・咀嚼筋とは物を噛むための筋肉です。歯の周囲の筋肉が原因でも歯痛は起こります。持続的で鈍い痛みを感じやすいです。

群発頭痛や偏頭痛・・・歯に関係する三叉神経や顔面神経が過敏になって起こると考えられています。

心疾患・・・・関連痛といって歯に関係無いところが原因でも歯に痛みを感じます。心疾患でも歯に痛みを感じる場合があります。

副鼻腔炎・・・上の奥歯は副鼻腔炎によって痛みを感じる場合があります。

 

非定型歯痛

非定型歯痛は原因が定かになっていない痛みでストレスや脳の伝達障害だと考えられています。

ストレス

発痛物質が溜まって痛み出します。歯の周囲がストレスによってカテコールアミンが増加して歯が痛みだすと考えられています。

脳の伝達障害

脳内のセロトニンは痛みを抑制や促進に関係します。このセロトニンの伝達に異常が起きると痛みを感じ続ける状態になると考えられています。

 

歯痛の東洋医学の考え方

 

東洋医学で診ると歯痛は大きく2つの原因に分類されます。

 

1つは歯に関連のある経絡に熱がこもってしまう事、

もう1つは歯に関連のある臓器が弱ってしまう事が挙げられます。

 

 

①経絡に熱がこもる

 

経絡は気や血といったエネルギーや栄養がスムーズに流れる事、そして陰陽(気、血、水)のバランスが整っている事で正常に機能します。

気血や陰陽のバランスが崩れると臓器や経絡に異常を来たして、痛みを始めとする不調を引き起こします。

 

歯には2つの経絡が流れています。

上歯には胃の経絡、下歯には大腸の経絡です。

これらは共に消化器系の臓器です。

例えば暴飲暴食を繰り返していたり、辛いものや脂っこいもの、甘いものを過食していると消化器系の作用が追いつかず機能不全を起こし、熱がこもってしまいます(特に胃)。

 

この熱は上昇する特徴があり、胃や大腸の経絡に沿って歯の方へ昇っていくと、歯の痛みを引き起こします。

 

ですので上歯痛であれば胃経、下歯痛であれば大腸経の熱が原因であり、そららの経絡が治療ポイントの1つとなります。

合わせてこの強い熱(実熱という)を冷ます治療も行っていきます

 

このタイプの場合、突発的で強い痛み、歯茎が腫れる、口臭、口渇、便秘などの症状が現れます。

 お灸治療

 

②臓器の弱り

 

東洋医学では経絡の考えとは別に、各部分に関連が強い臓器というものがあります。

 

実は東洋医学では、骨が余ったものが歯である、という考えがあります。

そして骨と関連の深い臓器が腎になります

また歯の中には髄(歯髄)という構造があり、歯を支えたり栄養したり歯の感覚などをつかさどっています。

そしてこの髄と関連の深い臓器も腎になります。

 

腎は、加齢や偏食、大病による長期臥床や全身麻酔、ステロイド剤など薬剤の長期服用などによりどんどん弱っていきます。

すると骨や髄が弱り、歯を支えられなくなり、気血が十分に与えられなくなるために、歯に痛みが現れます

 

ですので、まずは腎の治療を行っていく必要があります。しかし①のタイプに比べ経過が長かったり、体質を変えていく必要があるため、治療には時間がかかる傾向があります。

 

このタイプの場合、持続的で鈍い痛み、浮いたような歯痛、疲労感、耳鳴り、足腰の重だるさなどの症状が特徴的です。

 

また高齢の方や産後の女性によく見られるタイプの歯痛になります。

 

歯痛に対する当院の治療

歯痛に対する当院の治療は、まず第一に鍼の効果である鎮痛効果をねらって施術していくことです。実際に痛みの出ている頬部や口の周辺に鍼を刺して必要であればその鍼に電極をつないで電気を流していきます。これは鍼通電療法と言われ、鍼を刺すだけよりも鎮痛効果がより期待できます。また、上肢の経穴である『合谷』と『曲池』という経穴にも鍼通電療法を施していきます。この合谷と曲池の施術は、中国で歯の治療の際に鍼麻酔で使用される経穴として知られており、顔部の施術と合わせて行っていくとより効果的です。

その他、上述したように東洋医学の観点よりバランスの崩している五臓六腑を診てバランスを整えるような施術を行っていきます。特に上の歯には『胃』、下の歯には『大腸』の経絡が流れており、痛みの出ている歯によって滞っている経絡を見極めて流れを良くしていくような施術を行っていきます。

また、痛みは自律神経を乱してしまい特に交感神経が優位の状態となりやすくなってしまいます。交感神経が優位となると血管を収縮しすぎて血流が悪い状態となり、鎮痛物質をそこにとどめさせやすくなってさらに痛みを引き起こす原因となってしまうのです。そこで当院では、腹部や手足の経穴も用いて自律神経の調整施術も行っていきます。

 

症例

20代女性

三叉神経痛になってから歯の痛みが取れないと来院されました。

三叉神経は病院で治療しているが歯の痛みが薬でも効かないため代替医療として鍼灸に期待してくれました。

咀嚼筋の緊張、交感神経優位が原因であると判断して治療しました。

まずは全体の流れを良くするため自律神経を整える刺激を行なった後に胸鎖乳突筋、側頭筋、咬筋など首と咀嚼筋の筋緊張緩和を行ない、合谷に電気通電療法で鍼麻酔を行ないました。

 

2回目

1回目の後痛みが半分くらいになった感じがしたと喜ばれて、さらに痛みを取って欲しいと言われました。

継続した治療方針とさらに変化した点を考慮して治療を行ないました。

 

3回目

痛みが当初の三分の一ぐらいになったと言われました。

頭を動かしても激痛だったのが今では横になることもできると改善が目に見えて分かったので同じ治療を継続する事にしました。

 

5回~8回目

段々と痛みが取れなくなってきました。残った痛みは三叉神経によるものだと考えて治療を止めて病院での三叉神経治療に専念してもらうようにしました。


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 18:13 / 院長コラム

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