産後の坐骨神経痛

2018年7月30日

坐骨神経痛の症状とは?

坐骨神経痛という名称は症状を表していて、厳密に言うと病名ではありません。

坐骨神経痛の症状は坐骨神経が支配する領域である、殿部、大腿部(後面から外側面)、下腿(後面から外側面)、足部(足裏、足の甲、外側)に痛みや痺れ、感覚異常、感覚の鈍さなどと言った症状が現れます。

こう言った症状を総括して坐骨神経痛と言います。

部分的に出る人、片側だけ出る人、両側に出る人など様々です。

 

坐骨神経痛の原因は未だに間違われている

坐骨神経痛の症状が出たら多くの方は整形外科へ行かれると思います。

そしてレントゲンやCT、場合によってはMRIなどの検査を受けると思います。

椎間板が出ていれば「腰椎椎間板ヘルニア」、脊柱管(背骨の中の空洞。脊髄神経が通る)が狭くなっていれば「脊柱管狭窄症」、腰椎がズレていれば「脊椎すべり症、脊椎分離症」などと診断を受けるでしょう。

そしてそれらのせいで坐骨神経痛が生じていると言われます。

リハビリやブロック注射などの保存的療法を行い、それでも改善が無ければ、場合によっては手術するケースもあります。

しかし多くのケースで痛みや痺れは改善しません。

一時的に良くなっても再発する事も多いです。

ではなぜ治らないのでしょうか?

それは原因が違うからです。

そもそもヘルニアや狭窄症と坐骨神経痛の症状の相関関係は無い事が分かっています。

ヘルニアを手術で除去しても痛みが変わらなかったり再発するケース、坐骨神経痛が無いにも関わらずヘルニアはあるというケースなども良く見られます。

はっきり言ってこのような構造的な異常と坐骨神経痛を結びつけるのは前時代的過ぎます。
しかし整形外科では未だにこの理論が常識になっています、、、

筋膜の歪みによる坐骨神経痛

では坐骨神経痛の原因は何でしょう。

それは「筋膜の歪み」にあります。

筋膜と言うと筋肉を包むだけのように思われていましたが、実は多くの機能がある事が分かっています。

筋膜の中には痛みを認識するセンサー(自由神経終末)が埋め込まれています。

後で説明する原因によって筋膜が歪んでしまいます。
筋膜が歪んでしまうと正常な機能を発揮できなくなるため、そこに埋め込まれている痛みのセンサー(自由神経終末)も異常を起こします。

このセンサーに異常が起こると痛みや痺れが起こります。

ここで一つ厄介な問題があります。

それはこの筋膜の歪みが、症状の出ている部位に無い事がほとんどである、と言う事です。

筋膜は単一の筋肉を包むだけでなく、全身に渡って連結しています。

そのため別の部位で起こっている筋膜の歪みが全身に伝わって、坐骨神経領域の筋膜異常を起こして痛みや痺れを引き起こしている事がほとんどなんです。

ですので痛みの起こっている部分をいくら治療しても治りません。
その大元の筋膜の歪みを治療しなければなりません。

筋膜が歪む原因とは?

筋膜が歪む原因はいくつかあります。

いずれの場合も「過去」に起こった事が原因となります。

一番大きな原因として「固定」が挙げられます。

例えば過去の骨折や捻挫による長期間のギプス固定、長期間のサポーター着用など、筋膜を動かす事が出来ない期間が長いと、筋膜に歪みが生じます。
数週間前とか数ヵ月前ではなく、十数年も前の「固定」が影響することもよくあります。

その他にはオーバーユース、日常や仕事上の過用、内臓の不調から起こる筋膜の歪みもあります。

そのため過去の怪我、骨折、手術、痛みの経験、内臓不調、そして普段よく行う動きや姿勢などを詳しく調べていく必要があります。

そして坐骨神経痛の大元の原因となる「筋膜の歪み」を見つけ出し、解消しない事には、その痛みや痺れは治らないのです。

しつこいようですが、坐骨神経痛の痛みや痺れの原因は、症状が出ている部分にはない事がほとんどです。

症例(産後の坐骨神経痛)

30代女性。3年前に第2子を出産し半年後(2年半前)から左坐骨神経痛を発症。左大腿部から下腿部の後外側に痛みがあった。ヘルニアや脊柱管狭窄症といった所見は無かったとの事。

その後ブロック注射にて寛解する。

しばらく症状は出ていなかったが、半年前に両方の下肢全体の重だるさ、両足の甲の痺れ、両踵の痛みを発症し来院。
出産前には腰痛や下肢の症状は一切無かったとの事(首肩周りの凝り感はあった)。

過去に長期間の固定の経験なども無い。内臓の不調も無い。

以上の事から、出産によって骨盤周囲の筋膜に損傷が起こり、筋膜の歪みが発生。そしてその歪みが下肢へ広がって痛みや痺れを出していると仮説を立てる。
そして骨盤から下肢の触診をしていくと、殿部と下腿部に強い筋膜の歪みがあった。

①初回

初回の治療では、両側の骨盤(大殿筋部にある筋膜)、左側の下腿(長趾伸筋部と腓腹筋部にある筋膜)の計4ヶ所を治療。
左下肢全体の重だるさ、左足の甲の痺れ、左踵の痛み消失。

②2回目

2週間後に再診。前回の治療から左下肢の症状は再発していない。

今回は主に右側を治療。

両側の骨盤(大殿筋部にある筋膜)、右側の下腿(長趾伸筋部と腓腹筋部にある筋膜)の計4ヶ所を治療。

今回は右下肢の症状も消失。

その後は下肢の症状の再発は見られず、首肩の治療のために来院されている。

このように現在出ている痛みや痺れの部分では無い部位にある筋膜の歪み(今回は主に骨盤周りと下腿)によって、坐骨神経痛の症状が出ることはよくあります。
どこに行っても治らない坐骨神経痛がありましたら、是非一度ご相談ください。

Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 20:18 / 院長コラム

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