お知らせ & コラム NEWS / COLUMN
うつの苦しさ 5つのプログラム
医学的にうつとは病気、何かが壊れた状態と考えます。
うつ状態の人がこれを聞くと、自分の中の何かが悪いのだと受け取り、「自分を変えなければ」という不安と焦りを募らせ、休養という大事な行為に結びつきにくくなってしまいます。
うつの本質は、疲労の蓄積とそれに対する体の防御反応ではないでしょうか?
体の防御反応は、自分自身を守るためのプログラムですが、苦しさも伴います。
うつの苦しさは5つの感情のプログラム+無力感、自責の念
うつになると、自分を守るために、驚き・興奮、不安、怒り、悲しみ、焦りの5つの感情が一斉に発動します。
悲しみのプログラムからは無力感と、自責の念も引き出されます。
うつの苦しさとは5つの感情と無力感、自責の念による苦しさなのです。
しかし、この5つのプログラムはその状況をどうにかして乗り越えるために、自分自身を守ろうとして発動されているのです。

①驚き、興奮のプログラム
緊張すると頭が真っ白になること、筋肉が緊張し、手のひらに汗がにじむことがありますが、これがプログラムの影響です。
疲労困憊するとプログラムが立ち上がり、この影響で体調の不調が生じ、頭が働かなくなるのです。
②最悪のケースを考え続ける不安のプログラム
うつ状態で最も苦しいのは、不安ではないでしょうか?
悪いことばかりが思い浮かび、ひとりでいると不安の渦に飲み込まれそうになる。
そんな不安を抱えていると毎日少しも安心した気持ちになれませんね。
不安はもともと、最悪のケースをシミュレーションし、自分の身を危険から守るためのプログラムです。最悪のケースを考え、予防しようとしています。
不安のプログラムは夜も寝ないで警戒させるため、不眠の症状に至ってしまうのです。
③理由もなくイライラさせる怒りのプログラム
疲労しきった身体は、自らを守るために怒りのプログラムを発動させます。
怒りのプログラムの本来の目的は、戦いを予防すること。自分が絶対に正しいと考えさせる特性があり、怒ることが正義と感じてしまい、抑えるのはとても難しいのです。
理由もなくイライラするのが、怒りの一部。
なんとかイライラする自分を理性で抑えていますが、怒りは蓄積し、ある時とうとう爆発してしまいます。
親しい人についつい八つ当たりをし、自己嫌悪に陥るというケースがよくあります。
④ひっそりと引きこもるための悲しみのプログラム
悲しみのプログラムは、病気や怪我をしたり、大切な人を失ったりした時、自分を守るために、身を隠し、ひっそりと引きこもるためのプログラムです。
意味もなく悲しくなったり、やる気や興味などが低下します。
悲しみのプログラムは、無力感や自責の念も引き出してしまいます。
苦しみのひとつに無力感があります。
私には対処できない、と感じるほうが危険な場所から逃避できるのです。
自分には何もできない、誰も自分を助けてくれない、その状態がずっと続くとなると大変辛いです。
この状態で社会で活動し、生活をしていると無力感を感じる機会がとても多くなってしまうのです。
無力感に支配されると、全て終わりにしたいという気持ちにまで発展してしまいます。
うつの時はどうしても自分を責める気持ちが強くなります。
この自責の念も危険に対して自分を守ろうとし、引きこもっているうちに、自分にできる対策を必死で考えさせようとしているのです。
何か問題が生じた時に、自分が原因ではないか、自分にもっとできることはなかったのか、過去を振り返り、何らかの原因が見つかるのが普通ですが、仕事がスムーズにいかないのは自分のせい、人間関係が悪いのも自分のせい、どうしても自分を責めてしまい、何かしなきゃという焦りにつながり、エネルギー消耗を加速させてしまう。
これが自責の苦しさです。
自分を責める思いが不安や焦りに結びつきうつをますます悪化させてしまうのです。
⑤うつの回復を難しくする焦りのプログラム
うつになると何かにせき立てられているような焦りを感じます。
焦りは体がエネルギーを切らしていることを教えてくれているのです。
うつが疲労であることを十分に認識していないと、「早く」というメッセージだけ受け取って何かしなければと焦ってしまうのです。
本当は休まなければならないのに、休むことができなくなってしまいます。さらに無駄なエネルギーを使って、どんどん落ち込んでいく。
これがうつの焦りの怖いところです。
このプログラムには安易に乗らず、休養をとることが何よりも重要です。
うつの根本原因は疲労
心の弱さからではありません
うつ状態は本当に辛いものです。眠れない日が続き、理由もなく落ち込みます。悲しく落ち込んでいたかと思えば急にイライラして攻撃的になったりと、自分の気持ちを自分でコントロールできません。体力も気力もなく、何のために生きているのかわからなくなってしまいます。
本人は今の苦しさを自分の努力不足、自分の無能、自分の心の弱さが原因だと考えています。
しかし違うのです。
うつの根本原因は疲労です。ほとんどの場合、心の弱さなど全く関係のない、むしろ肉体のトラブルという側面が強い状態です。あまりにも疲労しすぎて、体がいつもの自分ではない状態なのです。

うつを悪化させないために、まずはお休みをとること。何が原因でなってしまったかなどと考えてはいけません。
まずは心のエネルギーを消耗させていることから距離をおくことから始めましょう。
でも、自分は疲れるようなことはしていないけれども……という人も多いのではないでしょうか?
次回はその「疲労」についてご説明します。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 19:35 / 院長コラム
最新のお知らせ & コラム NEWS / COLUMN
- 2025.10.28
- パニック障害の鍼灸治療
- 2025.10.12
- 近視性脈絡膜新生血管と鍼灸治療
- 2025.10.11
- 神経有棘赤血球症と鍼灸治療について
- 2025.09.30
- 振戦の鍼灸施術
- 2025.09.24
- 大脳皮質基底核変性症と鍼灸治療の関係性について
- 2025.09.08
- 自律神経について徹底解説
- 2025.08.27
- 東洋医学から診るパーキンソン病
- 2025.08.23
- 筋萎縮性側索硬化症と鍼灸治療
- 2025.08.14
- 球脊髄性筋萎縮症と鍼灸治療
- 2025.08.04
- 耳管開放症の鍼灸治療
- 2025.07.22
- 後鼻漏でお悩みの方へ
- 2025.07.22
- メニエール病の鍼灸治療
- 2025.07.19
- 顎関節症の鍼灸治療
- 2025.07.14
- 突発性難聴について
- 2025.07.09
- ジストニア
- 2025.07.07
- 胃の不調と鍼灸の力
- 2025.07.01
- 倦怠感〜「何となく疲れが取れない」あなたへ〜
- 2025.06.16
- 頭痛の原因と正しい対処法
- 2025.06.13
- こころの不調と東洋医学
- 2025.06.11
- うつ病の初期症状に効果的な鍼灸治療
ご予約はこちらから
\相談だけでも大丈夫ですのでお気軽に/
はじめての方も安心の返金保証制度をご用意しております。
たった一度のご来院でも、我々の専門知識と確かな技術で
お客様のお悩みの症状に対する概念を、きっと変えられると思ってます。
是非一度お気軽にご相談ください。
