2016年12月15日
若年層に多く現れて、仕事や学業の困難によって発症すると言われています。正式な病名ではなくうつ症状を含むため新型うつと呼ばれています。
従来のうつ病と違うのは気持ちの変動が大きいことで楽しいことになると一転して気持ちが明るくなることがあります。時間帯によって落ち込むことや他人からのささいな一言がきっかけになることもあります。
この病気は仕事や学業を回避する傾向にあるため周囲から理解されづらい事が本人にとって苦痛になります。
うつ症状は自分では分からないけど気分が落ち込む事や疲労を強く感じます。どうしようもない気持ちがさらに自分を落ち込ませます。
新型うつを東洋医学的に考えていくに当たって、主症状とともに現れやすい特徴的な症状が重要となります。
特に随伴症状として現れやすい症状は、
睡眠障害(過眠)、過食(特に甘い物)、咽の乾き、突然涙が出てくる、ドライアイ、集中力の散漫、感情のコントロールができない(イライラしたり、抑うつ気分になったり)、思い悩みやすい、慢性的な腰痛
などがあります。
①脾の機能低下と血不足
これらの症状が出る体のベースには、
「脾」の機能低下があります。
脾は飲食物を消化吸収し、体のエネルギーとなる「気」や栄養分となる「血」を作り出します。
ですので脾の機能低下があるとエネルギーや栄養が不足するため、エネルギーを使わないように、あるいは体を回復させるために長時間睡眠になりやすいです。
そして脾の機能低下があると思い悩みやすくなり、時には寝つきが悪くなったりもします。
また思い悩み過ぎると、今度はそれが脾を傷める原因になってしまいます。
甘い物や炭水化物は脾の気(エネルギー)を補う作用があるため、脾の気が不足してくると、甘い物や炭水化物でそれを補おうという欲求が生まれます。
また甘い物の過食は「熱」を発生させる特徴もあります。
特にストレスによって気が滞っている体質にあると、胃に熱がこもりやすくなってしまいます。
胃に熱がこもると過食傾向になります。ですので胃に熱があると、脾の機能低下による甘い物への欲求と相まって、甘い物の過食を引き起こします。
なのでこれは意思が弱いと言った問題ではないんです…体の状態を反映している一つのサインです。
そして厄介にも、甘いものは過剰摂取すると、返って脾を傷め機能低下を招いてしまいます。
するとますます甘い物を取ってしまうという悪循環に陥ってしまいます(それと一緒に体重も増えてしまいます)
ちなみに胃に熱がこもっている時には、異常な咽の乾きや口臭といった症状なども出てきます。
②肝の機能低下
さて、脾の機能低下により気血の不足が長期間続くと今度は「肝」にも影響を与えてしまいます。
肝は血が充実している事ではじめてその機能が正常に働きます。
脾の機能低下により血が不足すると、肝の機能低下も引き起こします。
肝は全身の気血を巡らせていますが、その機能低下が起こると、気が滞りやすくなります。
気が滞ると全身に様々な影響を与えますが、特に感情面への影響が大きく現れます。
肝の機能低下により気が滞ると、イライラしやすくなったり、逆に突然ひどく落ち込み抑うつ状態になります。
感情のコントロールが効かなくなってしまうんです。
こうなると突然に涙が出て来てしまう事もあります(肝が弱ると涙が出やすくなります。)
ちなみに初期の肝の弱りと血不足ではドライアイが出てきます。
肝はもともとストレスの影響を受けやすい臓器なのですが、血不足がベースにあると、より一層その影響を受けやすくなります。また症状の進行も早く回復しづらくなります。
ところで新型うつ症は女性に多い傾向があります。
女性の場合、毎月の月経や間違ったダイエットにより、血が不足しやすい体質にあるため、このような症状が出やすくなってしまいます。
新型うつを東洋医学的に見ていくと、以上のように考えていきます。
しかし個人個人の随伴症状や環境などは全く異なります。ですので上記の診立てをベースに、それぞれの状態を詳細に確認していく必要があります。
基本となる治療方針としては、直接的な症状を出している肝の治療や気を巡らせる治療、血不足を補う治療を行って行きます。
更に根本的な原因となっている脾の治療を合わせて行っていきます。
新型うつに関係する時間や情動に自律神経は深く関係します。ストレスの多い現代社会が新型うつを生み出したとも考えられています。ストレスにさらされることで自律神経は乱れます。そのため新型うつの症状を治していくには自律神経を整える事が重要だと当院では考えています。
当院には自律神経を測定する機械で交感神経と副交感神経のバランスを確認できます。
このデータを元に自律神経を効果的にアプローチしますので終わる頃には身体が温かくなった症状が軽減されたなどと実感して頂けると思います。
新型うつでお悩みの方は渋谷α鍼灸院へお越し下さい。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 11:16 / 院長コラム