テニス肘治療

2017年2月18日

テニス肘

 

テニスなどラケットを使うスポーツによくみられる疾患です。テニス肘の正式な病名は上腕骨外側上顆炎と言います。肘の外側で手首を伸展させる方の動きで使う筋肉が付く場所です。

 

痛む場所は肘の外側で、手首や肘を使うと激痛が走ります。症状が悪化すると軽く動かしただけで痛むため仕事や家事に支障がでます。

筋肉は主動筋と拮抗筋の関係があり、一方の筋肉を使うと反作用の筋肉がある程度働き調節をします。手首を反らせる動きをしなくても痛みが出るのはこの関係のためです。

原因

テニスのバックハンドストロークをすると肘の外側に負担がかかり、筋肉の付着部が炎症を起こしてしまいます。

この肘の外側に付く筋肉は、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋があります。

伸びるという漢字が入るように手首を伸ばす作用がある筋肉で、テニスのラケットをひねらせる動きと手首を固定する際に力が入ります。この状態で玉を打つなどインパクトの衝撃が肘に繰り返しかかると負傷します。

 

対処法

初めは安静冷却が必要です。繰り返しの外力によって発症したため同じ動きを続けると悪化するか痛みが取れないまます。

テニス肘は治癒させなければ再発するため完全安静にする必要があります。ちょっと痛みが引いたからといって再開すると痛みがいつまでも引きません。

炎症があるうちは冷却も必要です。スポーツや負担がかかる動作後は必ず冷却して患部の炎症が大きくならないようにしましょう。

冷却方法は氷と水を11にした氷水を袋に入れて患部にあてましょう。冷却時間は1520分を目安に行ないます。

ストレッチも大切ですが、強めや間違って行なうと悪化する事にもなりますので、ここからは専門家に任せた方がいいです。

 

鍼灸治療

鍼灸には鎮痛作用と炎症を抑える作用があります。患部の痛みを減らして炎症を早く引かせるためテニス肘に効果的です。

鍼から直接電気を流すと方法も効果があります。症状を見極めて最適な刺激方法で治療を行ないます。

また前腕の筋肉が硬くなっていることも原因になりますので、柔軟性が低下した肘周囲の筋肉も治療します。

上腕や前腕の肘に効果的な経穴を選んで柔軟性をだしていきます。

 

矯正方法

関節は連動して動くため、肘を動かすにも肩や手首が関係します。肘のみの関節をみるところが多いのですが、実際には中枢に近い肩の動きが制限されていると原因が隠れていることも多いです。

肩の可動域が制限されると肘の負担がかなり大きくなります。肩が動かない状態で肘を酷使すると当然肘を痛めてしまいます。

肘だけではなく肩や手首の関節を治療すると治癒が早まります。

 

 

東洋医学の考え方

風寒の邪気、湿邪

気や血の巡りが滞り痛みや痺れになっていると考えます。

気血が滞る原因として寒さや湿気があります。寒い風があたると風寒の邪気を受けて痛みがでます。湿度の高い場所で湿邪を受けも発症します。

肝血虚

中医学の五臓六腑に肝があります。この肝は血の貯蔵や身体の血流量をコントロールする作用があります。

肝の機能が低下すると筋の痙攣、痺れなどがおこります。

 

自律神経療法

当院では自律神経バランスを重要視しています。身体の自然治癒力は自律神経のバランスによって最大限に発揮する事ができます。

交感神経と副交感神経のバランスが崩れていると患部の血流も悪いため治癒が遅かったりいつまでも症状が変わらない事があります。

患部の治療と同時進行で自律神経のバランスを整える必要があります。

当院に置いてある自律神経測定器で交感神経と副交感神経のバランスを測定します。

このデータを元に最も効果的な治療方法を考えます。

全身の血流を良くすると患部の血流量も上がりますので治癒が早くなります。

 

 

症例

四十代 女性

 

週に一度のテニス教室で、肘が痛くなってきたため来院されました。

ここ最近面白くなって練習量を増やした事が原因だと言われました。段々痛みが出てきたが大丈夫だと思って続けたためかなり症状が悪化してしまった。

今では家のドアノブを引くだけで痛みが強く、料理道具が持てないため料理が出来ないほどになったそうです。

 

1回目

患部をみてみると少し触れただけで激痛が走り、検査で触られるだけでも嫌な状態でした。

直接患部への治療はやめて肘周囲の筋肉の緊張緩和と患部にはお灸を行ない、炎症を引かせるように治療を行ないました。

終わる頃には軽く押しても大丈夫なくらい圧痛が減って希望がみえたと言ってもらえました。

テニスはしばらく止めてもらうことと、完全安静をお願いして、患部をテーピングで固定しました。

 

2回目

前回より症状が緩和していることが直ぐに分かりました。

初めは前回と同じようにして、途中から患部に直接治療を行なって鎮痛目的で鍼を打ちました。

鍼の反応が良い方のようで終わる頃には動かしただけでは痛みが無いと喜ばれました。

引き続き患部のテーピングで終わりました。

 

3回目

3回目に来院されてお話を聞くと突然悪化したそうです。どうやら楽になったためテニスを行なったところ痛みが強くでて止めたそうです。

楽しい事でも治癒するまでは行なわないようにと念をおしました。

1回目と同じ炎症を引かせる治療と周囲からアプローチする治療方法に変えました。

 

考察 

3回目以降はテニスを止めてもらったおかげで症状がなくなってきました。

正直テニス肘は本人が痛む動作や習慣を改善していただくことが治癒への早道だと思います。

完全に良くなるまで絶対安静にする事が一番大切だと思います。

 

 

 


Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 12:06 / 院長コラム

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