2016年5月31日
足首で起こる捻挫のほとんどは内反捻挫です。足先が内側に入り込んで痛めるタイプです。
捻挫をした際に関節包や靭帯を痛めて負傷することが多く、放置して自然治癒させると悪い癖がついて捻挫を繰り返しやすくなります。
スポーツ選手に多く見られる疾患ですが、日常生活中にもたくさん見られます。階段や小さな段差で躓き起きます。
この疾患は非常に多く、学生時代にスポーツをやっていた方なら自分自身か周りに足関節捻挫になった人を一度は見たことがあると思います。症状にも軽く捻り関節包を痛めた程度の軽症から、靭帯を切ってしまうものや骨折を伴う重度のものまで損傷程度はかなり広いです。骨折を伴う捻挫の場合は鍼灸の適応外になります。靭帯損傷までであれば鍼灸治療で治癒促進や筋力強化の予防までしっかりと診れます。
足は合計26個の骨から成り立っていて捻挫を起こす足首は上が脛骨と腓骨で構成されて、真ん中に距骨で、下は踵骨で関節を作ります。この関節は、外側には骨が可動域を制限しますが、内側には外側に比べて可動域が大きくなります。そのため内反捻挫が多くなります。
損傷される可能性がある靭帯は、一番多いのが外側につく前距腓靭帯で足首を内反させる時に一番テンションがかかるためです。次いで踵腓靭帯や脛腓靭帯など内反を強制されて伸びる靭帯が損傷されやすいです。
足首にある靭帯
内側に付く靭帯
前距腓靭帯
踵腓靭帯
後距腓靭帯
脛腓靭帯
二分靭帯
距舟靭帯
外側につく靭帯
三角靭帯
靭帯は一般的に伸びたと表現されますが、靭帯が伸びることはありません。微小な軽度の靭帯損傷か、靭帯の部分断裂、靭帯の完全断裂に分かれます。関節の不安定性は第二度の部分断裂から起きます。
靭帯の治癒までの期間は
第一度の軽度の損傷であれば1~2週間程度
第二度の部分断裂であれば1ヶ月程度
第三度の完全断裂であれば数ヶ月程度
足関節の靭帯の損傷を確かめるテストです。誘導方向に動揺の出方で靭帯損傷がわかります。
損傷時にこのテストは行いません。炎症や急性の症状が取れてきたぐらいに確認で行います。間違えて強く引き伸ばし損傷を強くする可能性を含めて損傷時の腫れた足には行わず、回復過程に行い損傷レベルを調べます。
内反ストレステスト・・・足先を内側に捻るように誘導して関節の安定性を調べます。
調べる靭帯
前距腓靭帯 踵腓靭帯
外反ストレステスト・・・足先を外側に捻るように誘導して関節の安定性を調べます。
調べる靭帯
三角靭帯
前方引き出しテスト・・・脛の下の方を一方の手で固定し、もう一方で踵を掴み前方に引き出すように誘導して関節の安定性を調べます。
調べる靭帯
前距腓靭帯
病院での治療
応急処置としてRICE療法が行なわれます。Rest(安静)Icing(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上)
保存療法では、ギプス固定や軽度の弾性包帯など損傷程度により固定材が変わります。
靭帯が断裂した場合で治したい場合などは靭帯の縫合や再建術などの手術療法がも行われます。
足関節捻挫には、急性期の場合は病院と同じようにRICE療法を行い、テーピングなどで固定を行います。腫れを引かせることを第一として治療します。
腫れが引いてからは、損傷程度を調べて、損傷周りに単刺を行い、血液循環を良くしていき、損傷患部にはお灸を用いて炎症の引きを早くしていきます。
靭帯損傷の治癒促進と治った際の悪い癖がつかないようにすることが治療目的となります。前脛骨筋や腓骨筋、下腿三頭筋などの比較的大きな筋肉を治療することも治癒促進になるのと同時に足関節の悪い癖がつきにくくできます。
足関節捻挫で腫れが引いてしばらくたっても痛みや違和感がでる方が多くみられます。これは足関節の距骨が上手く正常な位置に定まっていないことが原因として考えられます。距骨は間に挟まるように存在し前後、左右の筋肉の緊張により正常な位置に戻りづらくなっているため違和感や筋肉の緊張を引き起こし、いつまでたっても足首が治らないと思われるような状態になります。
この距骨の位置は脛腓靭帯が緩んでいる場合は定まりづらいのですが、脛腓靭帯があまり損傷していのに定まらないのは矯正の必要があります。
微細な動きのズレがあるのですが、左右を比べて動く範囲を見極めると比較的簡単に判断できます。
このズレを正常な位置に戻すために関係する筋緊張があれば筋肉に対して鍼を行うことで筋緊張を取り除きます。また、関節面の潤滑がうまくいっていない場合は矯正を行うと状態により施術方法を変えていきます。
治療期間は靭帯の治癒期間になります。
当院では自律神経のバランスを重要として治療方針の中に取り入れています。自律神経が整っている状態が人の自然治癒力を最大限に引き出せるため自律神経を整えることはとても大切です。
当院では、自律神経を測定できる自律神経測定器があります。これにより交感神経と副交感神経のバランスを調べることができます。自律神経以外にも身体的ストレスや精神的ストレスも調べて、より多角的に症状を捉えてアプローチしていきます。
鍼灸治療は自律神経を整えるのに優れた治療法で鍼とお灸を使って小一時間程治療する頃には効果を実感していただけると思います。
足関節捻挫や足関節捻挫後の痛みでお悩みの方は、渋谷α鍼灸院へお越しください。
Posted by 鍼 渋谷α鍼灸院 東京都 渋谷区 at 12:28 / 院長コラム